車椅子利用者にとって跳ね上げ式の駐車場はバリアフリーではない
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バリアフリースタイル代表の白倉です。お客さまからの問い合わせの際、「車椅子利用者がとめられる駐車場が近くにありませんか?」と聞かれた場合はどうしますか?そのお客さまがどうしてもそのお店に行きたいと思えばこそ、正しい情報をお伝えしたいものです。そこで間違った情報の1つが、地面から跳ね上げ式でロックがかかるコインパーキングです。これは車椅子利用者にとって大敵な駐車場であるとご存知でしょうか?
隣にクルマがとまっていないから大丈夫ではないのはなぜ?
街中に多く見られるコインパーキングのほとんどが、地面からの跳ね上げ式でロックがかかるものです。この駐車場を利用できない理由は、大きく2点ほどあります。1つ目は、クルマから車椅子に乗り移りできるスペースが確保されていないことです。駐車場経営者にとっては、敷地の有効活用をしたいと思うのが当然なので、クルマとクルマの間をピッタリと区画整理されていることが多いため、クルマとクルマの間に1mのスペースが欲しい車椅子利用者にとっては、利用することが難しくなります。
でも一般の方が思いがちなのは、「隣にクルマがとまっていないならば、車椅子利用者でも乗り降りすることはできるのでは?」と考えることでしょう。しかし、クルマから降りる場合は大丈夫であっても、用事を済ませて戻ってきたら、隣にクルマがとまっていたら、クルマに乗り込むことができません。隣のクルマの所有者が戻ってくるまで、自分のクルマを動かすことができなくなります。それはまさに最悪なシーンです。
2つ目は、地面からの跳ね上げ式でロックがかかる場所が運転席の右斜め後ろにある点です。クルマから車椅子を降ろしたときに、ロックがかかる機械が邪魔になり、車椅子を地面に置くことができません。つまりクルマから車椅子への乗り移りそのものができなくなってしまいます。せっかく車椅子への乗り移りができるスペースがあったとしても、残念ながら意味がなくなってしまいます。
最近はセンサータイプのコインパーキングも登場
あと最近よくコインパーキングで見かけるのが、せっかく広いスペースがあるにも関わらず、区画を囲むように棒が敷設しているケースは、残念ながらとめることができません。なぜなら設備が邪魔となり乗り降りができないようになってしまうからです。
しかも残念なのが、身障者用駐車スペースなのに地面からの跳ね上げ式でロックがかかる場所があることです。せっかくの場所が明らかに宝の持ち腐れになっています。ただ最近は、センサータイプの一般駐車場が登場しはじめました。先日、東京の八丁堀駅周辺のコインパーキングは、うれしいことにこの新しいタイプの駐車場でしたので、身障者用駐車スペースがなくてもとめることができ、本当に感激しました。
大きなポイントは、単純にクルマから車椅子を降ろして、乗り移りできるスペース1mがあるかないかです。1mのスペースがあれば利用可能になります。もしお客さまにお伝えするのであれば、問い合わせの回答時に画像も一緒に送ってあげると喜ばれると思います。
口頭で伝えるよりも見てわかる方が分かりやすい
情報社会の中で、口頭だけでお伝えするのは伝わりにくいものです。いかに情報の見える化をすることが、利用したいと思っていただけるお客さまのためになると感じて頂ければ幸いです。そして利用できるできないは、車椅子利用の当事者に判断していただくのが、より適切な対応になるでしょう。そうすることで、あなたのお店だからまた行きたいとリピーター化につながるでしょう。
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