狭いスペースであっても車椅子で利用できるトイレ
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。お店のトイレをバリアフリーにする際、どのようなものをイメージしますか? ショッピングモールにあるような大型なトイレをイメージすれば、施工するのに水回りだけでなく、備品の購入、壁面の強度など費用が数百万になり、スペースも十分確保しなければなりません。費用はともかく、広大なスペースを確保するのは簡単ではないはずです。でも諦めることはありません。どれくらいのスペースがあれば可能なのか考えてみたいと思います。
課題があっても工夫をすればできないわけではない
ショッピングモールなどでよく見かける多目的トイレは、200㎝×200㎝以上のスペースが確保されているので、便器・手すりなどの車椅子利用者が使いやすい設備だけではなく、ベビーチェア、ベビーベッド、ユニバーサルシート(多目的シート)、着替え台、オストメイトなどが設置されています。そのため幅広く誰にも使っていただけるようなトイレになっています。
だからといって多目的トイレを造ることができないわけではありません。もちろん誰もが使えるようにしたいものの、残念ながら今まで利用できなかったお客さまを1人でも多く増やしていくことを考えたトイレにすることで、使える予算やスペースに見合ったトイレにしてはいかがでしょうか? そこでどれだけの広さがあれば、車椅子でも利用するのに大丈夫なのかが大きなポイントです。
私は今までいろいろなトイレを見てきましたが、理想サイズである200㎝×200㎝がなくても、180㎝×180㎝であれば十分利用しやすい多目的トイレになります。但し、このサイズより一回り狭かった場合は、何かしらの工夫が必要になるでしょう。でも諦めることはありません。例えば、便器をタンクレスに変える、洗面台を奥行きのないものに変えるなどの工夫をすれば何とかなる場合があります。
いかに備品をコンパクトにしてスペースを広くするか
まずタンク付きの便器は、壁から便器の先端までが80㎝になることがほとんどです。そうなると残りのスペースは80㎝なので、便器に向かって車椅子を正面から見ることができなくなります。でもタンクレスに変えることで、壁から便器の先端まで60~70㎝になるために、残りのスペースは90~100㎝になります。これだけで今までよりもかなり広いスペースに変わるでしょう。
洗面台も通常のようなものですとかなりのスペースを占めてしまうので、車椅子の方向転換時に影響を及ぼします。それであれば、奥行き10~20㎝の洗面台にして広くスペースをとることも可能になるでしょう。私が以前、施工アドバイスをした飲食店では180㎝×120㎝のスペースでしたので、ちょっと難しいような気がしましたが、便器の向きを90度動かして、タンクレスにしただけで今までとは全く違うトイレに様変わりしました。そしてもともと洗面台はコンパクトであったために、このサイズでも車椅子で方向転換できる状態になっております。
もちろん車椅子が大きかったり、介助が必要になる人にとっては、使いにくいトイレであることは否めませんが、今まで0名だった車椅子のお客さまを少しでも多く獲得する手段としては有効になります。多くの経営者の皆さまにとっては、あくまで使える予算範囲内や狭いスペースで対応できることでも、大きな前進となり、これから増え続けていく車椅子利用者に喜んでいただけるお店になるでしょう。
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