経費はお客さまに対して安全・安心を最優先に考える
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。お店の中でここは危ないと思う箇所はありませんか?ちょっとしたことが大きな事故を招くこともあるのでl日頃から巡回することをおすすめします。私も総合スーパーの人事総務課長時代には、店舗の外周や店内における設備など、ほぼ毎日巡回していました。設備関係の専門家ではありませんが、日々巡回することによって危険が発生しそうな箇所が分かってくるものです。もちろんいつ災害が発生するかは分かりませんが、日頃からのチェックが欠かせないポイントではないかと思って、コラムを書きました。
勾配のある身障者用駐車スペースは危険
国道6号線を通っていたらいくつか気になるところが出てきました。ある意味、職業病かもしれませんが、2つの危険な部分を感じました。1つはあるレストランの身障者用駐車スペースが国道沿いにあり、若干の勾配が発生していました。
気になったのは、車椅子利用のお客さまがクルマから車椅子に乗り移る際にブレーキをかけ忘れ、もしくはブレーキをかけるタイミングが間違ったら、車椅子はクルマから離れていき、国道方面に転がっていきます。そうなると国道に車椅子が侵入することになり、国道を直進していたクルマに激突する可能性がありました。
さらに介助の場合においては、介助者がうっかり手を放してしまったら、車椅子に乗っている人とともに車椅子が転がっていきます。その際は、物損事故だけではなく人身事故にもつながる案件になってしまいます。ここでのポイントは、勾配のあるところに身障者用駐車スペースを造らないことです。できれば別の駐車スペースとの入れ替えが望ましいでしょう。
最近はこういった勾配のあるケースがよく見られますが、普通に立っている人にとっては気が付かない勾配でも、車椅子に乗っていれば明らかに気が付きます。車椅子利用者にとって勾配のある場所での乗り移りは大変危険です。そのためブレーキをかけなくても、車椅子が転がっていかない場所を選ぶべきです。よく行われる自宅の傾きチェックのように、ビー玉を路面におけばすくに分かるにちがいありません。
老朽化への対応を怠らない
もう1つ気になったのは、国道沿いにある大手チェーン店の看板が色あせていたケースです。そのくらい大したことはないと思いがちですが、さすがに商売をしていて色あせている看板は、企業イメージ的にマイナスです。そういったところからお客さまが少しずつ離れていくものです。老朽化しているお店であっても、老朽化している様子を最小限にしていくことが、設備を管理している人の腕の見せ所です。
課長時代には設備などにお金をかけられないと別の店舗の人事総務課長はよく言っていましたが、全くお金をかけないと老朽化は一層進んでいくはずで、どんどんみっともない店舗になっていきます。そのため私はできるだけ毎年の修繕予算には計上していました。もちろん与えられた経費予算の中でやりくりをするのは大変でしたが、最優先事項は「安全・安心」だと思って、予算を組んでいました。
危険案件をケチって責任問題になったらどうしようもない
もちろんケチることも重要ですが、その姿勢が続いていくことで、最優先事項もケチることが多くなり、時には危険案件でも控えてしまう可能性があります。今回は色があせている看板でしたが、もしかしたら看板自体が腐食している可能性もあります。もし台風等の災害時に、ポキンと折れたり、吹き飛ばされたら、責任問題になるのは間違いありません。そうなる前に、日頃からのチェックが欠かせないものです。
今回は2つのケースを例に出しましたが、経費については意図をもってきちんと使いたいものです。これはバリアフリーという観点でも同じです。トイレの改装するとお金がかかるからといって、ずっとケチってためらっていると、今後の高齢化社会に全く対応できない店舗になるでしょう。そういった意味では、時代に合わせて、お客さまに対して安全・安心を考えるお店にしていくことが求められるでしょう。
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