バリアフリー化には身近にいる車椅子利用者の従業員に訊く
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バリアフリースタイル代表の白倉です。商業施設・飲食業などのサービス業には多くの車椅子利用のお客さまが来店されています。至る箇所でバリアフリー化がされている中で、きちんと運用ができているかチェックをする必要もあります。なぜなら使い勝手が悪い、通路幅が確保されていないなど車椅子利用のお客さまが利用しにくくなっていることがあります。そういった状況を一早く分かる人が、会社の中でいるのではないでしょうか?
障害者雇用促進法により2.2%の障害者雇用が必要
障害者雇用促進法は、読んで字のごとく障害者の雇用促進のための法律を通して、障害者の職業の安定を図ることを目的とされており、政府が提唱している「共生社会を実現する」ためのものです。これまで社会参加できるような環境になかった障害者が、積極的に社会へ参加・貢献できるよう社会を考えられています。そのために職業の安定を図ることが重要とされています。
そこで事業主は、常時雇用している労働者の一定の割合について、障害者を雇用する義務を負っています。現在における法定雇用率は、2018年4月1日の雇用率改定により民間企業の場合は2.2%(45名に1人の割合)で雇用しなければならないようになっております。その制度は、常用労働雇用者数が100人以上の場合は、適用となっています。
現在における法定雇用率達成企業は、該当企業の約半分となっていますが、多くの障害者が企業の中で仕事をしています。そして今回述べたいことは、商業施設・飲食店などのサービス業において、多くの身体障害者が雇用されているのであれば、設備面・従業員対応面などのヒアリングをすることで、有効活用できないかという点です。
障害者だからできる仕事はたくさんある
私も今から20年前に新米のサラリーマンだったころ、当時の総合スーパーの店長から衣食住の売場を巡回して、車椅子で通れる幅かどうかを頻繁にチェックしてほしいと指令をうけたことがあります。実際に売場担当の従業員は何気なく通路を狭くしてしまう傾向があり、私が状況を報告することで、その後車椅子でも通れる幅を確保することができました。多分、車椅子目線でなければ分からないことだと、当時の店長はご存じだったのでしょう。
さらにその店長はたまたま2人でいるときに、「障害者だからできないではなく、障害者だからできる仕事はたくさんある」とおっしゃってくださいました。それがきっかけで私は数多くの仕事をすることになり、誰もが無理だと思われていることにも挑戦したりしました。障害者であったことで不利な状況になったことも正直ありましたが、決してチャンスが巡ってこないわけではありません。そのチャンスが来るときに向けて、自分が腐らずに充電して力を貯められるかがチャンスを活かすことにつながると思っています。
今後、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催・超高齢化社会に向けて、企業における整備が進んでいくでしょう。建物・施設がバリアフリー化にしていくことや心のバリアフリー化など課題が多い中で、ほとんどが当事者不在の中で決めているのであれば、残念ながらもったいないような感じもします。
いかにモチベーションがあがる取り組みを考える
もちろん当事者だからといって、バリアフリー化の専門家ではないものの、利用者の目線による声を聞くことができるのはプラスになるにちがいありません。しかも全く知らない人ではなく、自分たちの所属している従業員に聞くのはとても聞きやすいものです。しかも引き受けた従業員にとってもやりがいの生むプロジェクトになるでしょう。障害者だから活用できることがあると思っております。
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