多目的トイレを施工する際にきちんと確認すべきポイント
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バリアフリースタイル代表の白倉です。店舗・飲食店などの多目的トイレを施工をするときに「ちょっと待った!」と思えるポイントがいくつかあります。取り付けてから直すのは、コストもかかりますし、直さなければ利用者から使いにくいと叩かれてしまう可能性もあります。そうならないためには施工する前に注意すべきポイントをご説明します。
手が届かない場所に設置してしまうケースがある
最近よく見かけるのは、明らかに利用する当事者が使えない場所にいろいろなものを設置してしまうことです。例えば、よく多いのが便座シートクリーナーです。上から押すだけで下から液体がでるので、トイレットペーパーにつけて便座を拭きますが、壁面の一番奥についていることが多い状態です。立位・歩行をする人であれば、届くかもしれませんが、車椅子利用者にとっては届かない位置にあります。
必死に手を伸ばせば、片手はバランスをとるために便座に触ってしまい、綺麗にする前の便座に手をのせては、全く意味がないでしょう。それは車椅子利用者のことを想定していないで造られたものであるから、そういったどうしようもないところに設置してしまうと考えられます。
車椅子への試乗でなくても、自分が椅子に座って手を伸ばしてとれるかどうかだけでも分かるポイントです。取り付ける場所がないからとりあえずここにつけておこうというようなものがよく見かけます。だから実際に利用者にとっては使えないものになってしまうのです。
什器が邪魔して届かないケースもある
その他、トイレの洗面台のすぐ手前にごみ箱が置いてあることがあります。可動式なので動くものではあっても、頸椎損傷者などにとっては動かすことができないものになっています。私のような脊髄損傷者で腕を自由に動かせても、動かすにはちょっと重かったりします。こういったことも実際に使う人の立場を考えれば、洗面台のすぐ手前には置かないでしょう。
また画像のようにごみ箱と子供用洗面台の先に、ハンドドライヤーがあるために車椅子利用者では残念ながら手が届きません。もちろんハンドドライヤー自体が必要なのかどうかもありますが、せっかく取り付けるのであれば、届く場所に設置しなければ全く意味をなさないものになってしまいます。
そういったことを考えると、あれこれと設備をつけようとする気持ちは利用者にとってうれしいことではありますが、設置場所についてまできちんと施工時に落とし込んでいないのではないでしょうか? 汚物を流すボタン1つでさえ、視覚障害者には分かりやすいボタン・配置であってほしいのに、分かりにくいところにつけてしまうこともよくあります。そのために流すボタンと呼び出しボタンを間違えてしまうこともあるとのこと。
トイレの施工にはお金がかかりますし、限られたスペースの中で展開しなければなりません。費用が少なかったり、スペースが少なかったりしたら、なおさら身の丈にあった最適な多目的トイレを考える必要が出てくるでしょう。そ一度施工した後に、改修工事にならないためにもある程度万全にしておきたいものです。
車椅子を利用するときの目線を事前に取り入れた方がいい
大事なポイントは、車椅子への試乗をもとに、手が届くのか、目線はどうなのかを判断することをきちんと事前の工程に入れておくことをおすすめします。またできれば車椅子利用の当事者の声も反映するといいでしょう。普段利用している人の声があってこそ、机上論ではないものは造られるにちがいありません。ぜひともそうあってほしいものです。
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