バリアフリーは「コスト」ではなく「チャンス」――選ばれるお店になるために今できること
このブログシリーズでは、バリアフリーを「設備」だけで終わらせないためのヒントや気づきを、実体験を交えてご紹介しています。車椅子ユーザーとして感じたリアルな視点から、より良い接遇や環境づくりの参考になれば幸いです。
高齢者や障害者の方々にとって、暮らしやすい環境を整えるために社会のバリアフリー化は必要不可欠です。行きやすく、便利にするという目的は、誰もが理解できることでしょう。
しかし現実には、「バリアフリー=ビジネスチャンス」という発想がまだまだ浸透していないのが実情です。
多くの方が、「まずコストがかかる」というイメージを先に持ってしまうため、プラスの発想に切り替えるのが難しいのかもしれません。
ですが、見方を変えてみると、今までとは違った景色が見えてくるはずです。
バリアフリーの店は100軒中1軒あるかどうかの現実
ここ10年で、駅やショッピングモールなどの公共施設ではバリアフリー化が大きく進みました。
一方で、街中の路面店や個人経営のお店ではバリアフリー対応が進んでいないケースがほとんどです。
段差がなく、多目的トイレが設置されているようなお店を実際に探すのはとても困難です。
ネットで検索しても、バリアフリー対応のお店が見つからないのが現状です。
そして勇気を出してお店に行ってみても、段差やトイレの不備で入店を断念せざるを得ないこともあります。
でも、そう考えてみると―― 100軒探してもバリアフリーのお店が見つからない中で、もし1軒だけバリアフリー対応していたら?
そのたった1軒に、多くの車椅子利用者が集まる可能性があるのです。
しかし、「人がサポートすればいいじゃないか」という声が出ることもよくあります。
けれど、知らない人に助けを求めるのは想像以上に勇気が必要です。
断られるかもしれない…そう思えば、声をかけること自体が大きなハードルになります。
さらに、段差やトイレのサポートには専門的な知識や複数人の協力が必要になることもあり、簡単なサポートでは対応できない場合もあるのです。
視点を変えれば可能性が広がる
そこで発想を変えて、自分がもし車椅子利用者だったら…という視点で街を歩いてみてください。
段差の多さやトイレの使いにくさに改めて気づかされることと思います。
また、電車やバスの中で、実は多くの車椅子利用者が存在していることにも気づくでしょう。
これまで「少数派」と感じていた存在が、実はニーズの高い存在だったということが見えてくるはずです。
バリアフリーは福祉の視点だけでなく、店舗の集客やブランディングにおいても大きな武器になり得ます。
特に今後の超高齢化社会では、ますますバリアフリーの価値が高まるのは間違いありません。
必要としている人はたくさんいるのに、その声に応えられるお店が少ない。
だからこそ、バリアフリーなお店をつくることで、たくさんの「ありがとう」と出会える未来が待っています。
バリアフリーは「ハード(設備)」だけでなく、「ソフト(対応力)」も重要です。心を通わせるおもてなしが、誰にとっても安心できるお店づくりにつながります。
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