「お客さまは神様です」の正しい意味をご存知ですか?
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。サラリーマン時代において店舗の人事総務課長をしていた時は、お客さまからのクレームが連発することがありました。「責任者を出せ!」が10日間連続で対応した経験もあります。
その時にお客さま自身がよく発する言葉に「お客さまは神様なんでしょ?」と言われたことがあります。でもこれって意味が違うことをご存知ですか?といつも思っていました。なぜなんでしょうか?
「お客さまは神様です」を主張する人は間違っている
昭和の名歌手三波春夫さんが「お客さまは神様です」と発言したことによるものなのですが、三波さんが亡くなってかなりの年月が経つ現在においても、三波春夫さんのホームページが存在しております。そこできちんとその説明が掲載されております。
三波春夫にとっての「お客さま」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。
三波が言う「お客さま」は、商店や飲食店などのお客さまのことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。
しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客さまは神様でしょ?」と、いう風になるようです。そして、店員さんは「お客さまは神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合です。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。
このフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有り、本来の意味するところについてを、本人がインタビュ ー取材の折などに尋ねられることも多くあり、その折は次のように話しておりました。
『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客さまを神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客さまを歓ばせるということは絶対条件です。だからお客さまは絶対者、神様なのです』(三波春夫氏のホームページから引用)
そのため「お客さまは神様だから大事に扱え!」というようなクレームはあたかも勘違いなんです。お店のクレームの責任者をしていると、いろいろトラブルがありました。
お客さまのクレームはますますエスカレートしている
損害賠償・慰謝料請求などの大きなトラブルをはじめ、「息子がじゃんけんで負けて泣いて帰ってきた。いったいどうしてくれるの?」とか「自宅で豆腐を下に落として割れたからどうしてくれるの?」といったものまで多数ありました。
私は茨城県南部の店舗だったのですが、北に行くほどクレームの数は減るんです。逆に南に行くほどクレームは増えるんです。どうしても首都圏に近づくにつれてクレームの数は倍・倍・・・と増えていく傾向にあります。
以前、都内で責任者をしていた人が地元のある茨城北部に転勤したら、「都内なら話しても分かってもらえないし無茶な要求ばかり。でも北部に行ったらクレームはほとんどないし、もしクレームがあっても話せば大概わかってもらえるんだよね」と言っていました。
状況次第によっては、クレームのお客さまとその後仲良くなることさえよくあるとの事。まさに地域性にもよるものではないでしょうか。
悪意に満ちたものが最近では目立っている
もちろんお客さまを大切にすることは、営業する上で必要な事なのですが、明らかにいいがかりや無茶ぶりをしてくる悪意に満ちたものが多いのも事実です。
コンビニで土下座をさせられたケースなどがテレビのワイドショーで一時期話題になりました。でも明らかに度が過ぎていると思うものについては謝る必要はないと思っております。
私は自分の判断でこれは違う!と思うものは、お客さまに対しても反論しておりました。そのせいか同僚からは「お客さまに対して物申す課長」と揶揄されたこともありました。
人と人とが生活していく上で間違いはあるものです。お客さまに対してご迷惑をおかけしたものについては謝るべきだと思っております。但し、「お客さまは神様です!」といったフレーズを勘違いされて主張してくる方については、冷静に対処することが必要となるでしょう。
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