対応力に差があるお店は信頼を失う──“誰もができる接遇”を実現するための第一歩
お客さま対応において、車椅子利用者が来店されたときに
スムーズに行動できるスタッフと、そうでないスタッフが分かれてしまうことがあります。
しかし今後は車椅子利用者の来店が増える時代です。
お客さまのニーズを瞬時に察知できるスキルを、誰もが持つ必要があります。
人によってスキルの有無があるのは課題
若いアルバイトスタッフによくあるのが、状況を見て柔軟な対応ができないことです。
さらに「これで大丈夫」と思い込んでしまうことが多くあります。
たとえば、コーヒーショップで車椅子の方に満杯のカップをそのまま渡すと、
運ぶ手段が限られている車椅子ユーザーには大きなリスクになります。
トレイを膝に乗せて進んだり、片手で車椅子を漕いで運んだりすることで、
こぼす・火傷するなどの事故が起きる可能性もあります。
こうした経験から「安心して次も来店できる」とは思ってもらえないでしょう。
よくあるケースが、「Aさんのときはサポートしてくれるけど、いないと誰も動けない」状況です。
スキルは属人化しては意味がありません。
誰でもできる体制づくりが求められています。
2つの対応ができるかどうかでスキルが分かる
私が車椅子で来店したとき、「お好きな席へどうぞ」と言われたとします。
この言葉は一見丁寧に聞こえますが、車椅子で入れる席を案内していない時点で配慮が足りません。
また「水はセルフサービスですので、あちらからどうぞ」と伝えるのも同様です。
セルフが難しい相手への代替案や提案がないまま終わるのは不親切です。
こうした場面でどう対応するかが、スタッフのスキルの差になります。
必要なのは、“どうしたら喜ばれるか”を自ら考える習慣です。
それでも難しいなら、車椅子に実際に試乗して体験してみるのが有効です。
体験が伴えば、自然と行動や言葉が変わります。
誰もができるようにリーダーの教育が責務
中には誰に教わらなくても自然と動ける人もいます。
けれども、全員がそうではありません。
「できる人」と「できない人」で終わらせず、全員を戦力化することがリーダーの仕事です。
できなかった理由が「知らなかったから」というケースは非常に多くあります。
教育次第で、驚くほど成長する人もいるのです。
だからこそ、全員が自然と配慮できるようになれば、
車椅子ユーザーにとっても「また行きたくなる店」になるでしょう。
“たまたま誰かができた”ではなく、“誰でもできる状態”を目指してみませんか?
それが、信頼される店づくりの第一歩です。
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