そのひと言で評価が決まる? ― 車椅子利用者との接客で気づいてほしいこと
「接客って、ちょっとしたことで“好き”にも“残念”にも変わってしまう」
このシリーズでは、バリアフリーな接客を実現するためのヒントを、現場での具体例とともにお伝えしています。
接客の場で、車椅子利用者が来店しただけで戸惑い、そっけない態度を取ってしまうスタッフがいます。
その多くは、単に経験がないから。どう接すれば良いのか分からず、逆に過剰に意識してしまうのです。
結果的に「何も知らないから動けない」「思いつかないから何もできない」という状態に陥ってしまいます。
ちょっとした行動が、大きな不満につながる
今、超高齢化社会の中で車椅子利用者の来店は日常的になっています。
にもかかわらず、スタッフがスムーズに対応できなければ、満足度は当然下がり、リピーターの獲得どころか、来店すら遠のいてしまうかもしれません。
でも、心配はいりません。知らないことは「学ぶこと」で克服できます。
例えば、以下のようなやり取りが多く見られます。
- 車椅子利用者と健常者の2人が来店
- 店員「いらっしゃいませ」
- 店員「何名様ですか?」
- 車椅子利用者「2名です」
- 店員は健常者の方を見て「2名様ですね」と返答
これは“見られていない”という印象を与え、「なんで私が話したのに無視されたの?」と不快にさせてしまいます。
さらには1人で来店したときにも、こんな対応が起きがちです。
- 車椅子利用者が1人で来店
- 店員「空いている席へどうぞ」
- 車椅子利用者、自力で席を動かす
- 店員「お水はセルフです。ご自由にどうぞ」
- 車椅子利用者、水を取りに行けず結局飲まないまま食事
セルフサービスであっても、配慮がなければ放置と受け取られてしまうこともあります。
接客は「相手の状況」を見極め、ケースバイケースで動く判断力と行動力が大切です。
放置された“無知”は、大きなダメージを生む
今の時代、口コミサイトやSNSの影響は絶大です。
対応の悪さが広く拡散されれば、お店のイメージに直結します。
そしてこれは車椅子利用者に限らず、他のすべてのお客さまに対しても同じ。
まずは「自分がされたらどう感じるか」という視点を持ちましょう。
当事者の声を取り入れる研修こそが、本当の教育
理想的なのは、当事者の声を取り入れたロールプレイング。
「どうされたらうれしいか」「何が困るか」を直接聞くことが、最も効果的な研修になります。
当事者の参加がないと、自己判断による独りよがりな対策になってしまいがちです。
まだまだ導入している企業は多くありませんが、だからこそ今始めれば、接客のパイオニアになれます。
「知らなかった」を「知ってて良かった」に変える。
今すぐできる、小さな一歩から始めてみませんか?
▼シリーズ共通の締めのひと言
「気づき」は、誰かの安心につながる。
今日も一歩、やさしい接客を。
関連する投稿
- 店舗運営における安全・安心のために優先して考えるべきこと
- 車椅子を利用しているお客さまに対する接客のバリアフリー
- ちょっとした気遣いが車椅子利用者へのバリアフリー
- 誰もが幸せになるツール「こころのバリアフリー」とは?
- クレーム対応によってお客さまの思い・ニーズをつかむこと
現在の記事: そのひと言で評価が決まる? ― 車椅子利用者との接客で気づいてほしいこと