接客で感じる!車椅子生活をしていて「また来たい」と思うお店の条件とは?
このブログシリーズでは、バリアフリーを「設備」だけで終わらせないためのヒントや気づきを、実体験を交えてご紹介しています。車椅子ユーザーとして感じたリアルな視点から、より良い接遇や環境づくりの参考になれば幸いです。
最近よく耳にするのが、「何を買うか」よりも「誰から買うか」が大切だという考え方です。これは買い物やサービスを選ぶうえで、多くの人が共感している価値観ではないでしょうか。
特に車椅子生活をしていると、接客や応対の丁寧さが、そのお店の印象を大きく左右します。
どれだけバリアフリー設備が整っていても、接客がそっけなかったり、雑な対応をされてしまうと、「あのお店はもう行かなくていいかな…」と感じてしまうのです。
車椅子利用のお客さまへの接客に慣れているかどうかは、お店を選ぶ重要な基準のひとつになっていると私は感じています。
意識しすぎて目を合わせられない?会話ができない場面も
車椅子ユーザーの多くが求めているのは、「お客さまの一人として、きちんと扱ってもらえるかどうか」。この基本ができているかはとても大切なポイントです。
誰もが自尊心を持っています。その自尊心が無意識に傷つけられてしまうと、「もう二度と行きたくない」という気持ちになることもあるのです。
一見当たり前のように思える「対等な応対」ですが、現場では慣れていないために不自然な対応が起こることがあります。
たとえば、車椅子の私と健常者の友人が一緒に入店したとき。店員さんが「何名様ですか?」と聞いてきたので、私が「2人です」と答えました。
ところが店員さんは、私ではなく隣の友人に向かって「2名様ですね。それではご案内します」と話しかけたのです。
せっかく私が答えたのに、なぜか違う人に向かって返答されてしまう。こうした経験は、車椅子利用者との「会話そのもの」に自信がない、または目を合わせるのが難しいという心理があるのではないでしょうか。
きっと悪意があるわけではなく、慣れていないことが原因なのだと思います。
街頭でのティッシュ配りでも、車椅子利用者だけ避けて配っていないケースも見受けられます。気づかないうちに距離を取ってしまうのは、やはり「どう接すればいいか分からない」という気持ちからくるものかもしれません。
接客に慣れていないなら「教育」で解決できる
街頭での一瞬の出来事であれば、直接的な影響は少ないかもしれません。しかし、お店の中で接客に差があると、お客さまのリピート意欲に大きく関わってきます。
「感じが悪かったからもう行かない」と思われるのは、本当にもったいないことです。
でも裏を返せば、従業員教育をしっかり行えば、こうした誤解や不安は減らすことができるのです。
立場の違いに気づき、状況に応じた声かけや動き方を学んでおくことで、「誰にでも自然に接する力」が身につきます。
しかも、これからの時代は高齢化が進み、車椅子や歩行器などを利用するお客さまは確実に増えていきます。
そうしたお客さまに安心してご来店いただくためにも、今のうちに接客のスキルを高めておくことが、お店にとって大きな財産になります。
バリアフリーは「ハード(設備)」だけでなく、「ソフト(対応力)」も重要です。心を通わせるおもてなしが、誰にとっても安心できるお店づくりにつながります。
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