「気づかない“目線のバリア”が招く機会損失とは?〜車椅子利用者とのコミュニケーションの第一歩〜」
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
車椅子利用者の目線の高さは、どれくらいだと思いますか?
一般的に、100〜120cm程度が車椅子ユーザーの目線になります。
私は少し胴長短足の体型なので(笑)、座ったときの目線は120cmほどです。
それでも、健常者の平均的な目線よりはかなり低くなります。
そのため、車椅子利用者はどうしても周囲から“見えにくい存在”になりがちで、気づかれない、または避けられてしまうことも少なくありません。
今後ますます車椅子ユーザーが増えていく中で、こうした「目線のバリア」に気づき、解消していくことが、ビジネスや日常生活においても非常に重要なポイントになります。
人混みは車椅子ユーザーにとって危険を感じる場
街中では「近くに車椅子利用者がいても気づかれない」というケースが多々あります。
健常者の目線は150cm以上。つまり、30cm以上の差があるのです。
この目線の差は、歩行や会話にも大きな影響を与えます。
例えば、私がよく利用するJR秋葉原駅前の横断歩道では、いつも大勢の人で賑わっています。
その中を車椅子で進むには、人混みをかき分けて進むしかありません。
しかも、道路中央の凹凸部分が見えづらく、人に遮られてつまずく危険すらあります。毎回がヒヤヒヤの連続です。
立食パーティーでは「輪の中に入れない」現実
最近では“歩きスマホ”をする人も多く、突然目の前をふさがれることがあります。
こちらに気づかずぶつかりそうになったときに、逆に睨まれることも……。
「いや、スマホを見ているあなたが…」と言いたくなるほどです。
また、立食パーティーなどでも、目線の違いから周囲に気づかれず、会話の輪に入りづらいということがあります。
せっかくの交流の場でも、居心地が悪くて早々に帰ってしまうという経験もあります。
これは日常生活の一例ですが、もしもビジネスの場でこうした「目線のバリア」によって存在を気づかれなかったり、スタッフに冷たく扱われたりすれば、リピーターにはつながりません。
車椅子利用者が増える時代に必要な意識改革
車椅子利用者は、単独ではなく、家族や友人、同僚と一緒に来店するケースも増えています。
もし、その方一人を無視してしまえば、結果的に10人、20人の来店機会を逃してしまうことにもつながりかねません。
逆に「ここは対応が親切だった」「また来たい」と感じてもらえれば、リピーターになってもらえる可能性は大きく広がります。
まずは“存在に気づくこと”。
そして、目線を合わせた接客を心がけることが、バリアフリーの第一歩です。
目には見えない「目線のバリア」をなくしていくこと。
それが、これからの時代に求められる大切な意識です。
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