その“優しさ”、伝わっていますか?|高齢者・障害者対応で気をつけたい“言葉遣い”の落とし穴

2025.05.23 (金)

バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。

 

先日、あるクリニックを訪れた際に、接遇に関して気になることがありました。

 

障害者や高齢者への接し方の中に、“良かれと思った対応”が、実は相手を不快にさせてしまうことがあるのです。

 

今回は、現場で実際に感じた「言葉遣い」の重要性についてお話ししたいと思います。

 

【結論】優しさのつもりが“子ども扱い”に見えることがある

 

 

どんなに親切な気持ちからの言葉でも、相手の立場に立たずに発されたものは、受け手にとって「見下されている」と感じさせてしまう可能性があります。

 

特に高齢者や障害者への“子ども言葉”や、“全部やってあげる”ような行動には注意が必要です。

 

 

【理由】自分で判断したい人の“尊厳”を奪ってしまうから

 

 

私自身、長年車椅子で生活してきましたが、医療機関などでこうした対応を受けることがたびたびありました。

 

たとえば、受付で何かを伝えようとした際に、私ではなく同行者である母に向かって話しかけられる。

 

あるいは、自分で判断して動けるにもかかわらず、すべてを代わりに決められてしまう。

 

そこに共通しているのは、「この人には判断能力がないだろう」「こっちでやってあげた方が早い」という、決めつけにも似た意識です。

 

結果として、相手の“自尊心”を傷つけてしまいます。

 

 

【具体例】丁寧さと“尊重”は両立できる

 

 

もちろん、声が聞こえにくそうであれば、大きめの声で話す。

 

ゆっくり話せば理解しやすくなる人には、話すスピードを落とす。

 

そうした工夫はとても有効です。

 

しかし、「おこちゃま言葉」や、「わたしが全部やりますね〜」というような上から目線のトーンでは、相手の“気持ち”に寄り添えていません。

 

本当に求められているのは、「どうされますか?」「お手伝いが必要なことはありますか?」と、“選ぶ権利”を相手に委ねる姿勢です。

 

その方が、信頼関係を築くことにつながります。

 

【提案】正しい努力は、必ず信頼を生む

 

 

医療や接客の現場で働く皆さまの「助けたい」「支えたい」という気持ちは、決して否定すべきものではありません。

 

ただし、その思いを“伝わる形”にするには、もう一歩、相手の目線に立つトレーニングが必要です。

 

「自分がされて嬉しいか?」という視点を常に持つことが、相手にとっての“本当の優しさ”になります。

 

【まとめ】

 

  • 優しいつもりが“子ども扱い”になっていないか注意する
  • 高齢者や障害者の“自尊心”を尊重した言葉遣いが大切
  • 「判断は相手に委ねる」ことで、信頼関係を築く
  • “お手伝い”は求められた時に、さりげなく行う

 

【メッセージ】

 

あなたの“その優しさ”、相手にどう伝わっていますか?

 

ほんの少しの心がけで、接客の質は大きく変わります。

 

ぜひ、相手の気持ちを大切にする接し方を、現場で実践してみてください。

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