車椅子利用者が飲食店を利用する際に感じる接客応対のポイント
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バリアフリースタイル代表の白倉です。店舗における車椅子利用者がいらっしゃった場合の接客応対について、レストランなどの飲食店の場合を考えてみました。これはあくまでも当事者が感じる目線によるものです。少しでも車椅子利用者に応対するためのノウハウとしてお役にたてていただければと思っております。ではどういったケースが一般の健常者と違う対応をしなければならないのでしょうか?
お店に入った時の印象によっては二度と行かなくなる場合もある
まずはレストランに入店された時の応対です。大概のお店は車椅子利用のお客さまをお迎えする体制がとれているものの、たまにあるのは「どうぞお好きなところに座ってください」と言われてしまうケースです。車椅子利用者は、椅子を動かさなければ席につけない場合がありますので、「お好きなところへ座ってください」という言い方は雑な対応になってしまいかねません。
次にお客さまをお迎えする際のポイントです。私一人の場合ではなく、付き添いの人と一緒に行った場合です。私がお店の従業員に質問をした場合に、私ではなく付き添いの人に回答するケースがあります。よくあるのが、お店の従業員の方が「何名様ですか?」と質問したら、私が「2名です」と答えます。その際、従業員が私の方を見ないで付き添いの方に「2名ですね。こちらへご案内します」と言うケースです。この場合は、車椅子利用者からすると無視されているような気になってしまいます。
このケースの場合は、車椅子利用のお客さまと目も合わせないことがあります。合わせないという表現よりも合わすことができないという表現の方が妥当かもしれません。どうしても普段話したことのない車椅子利用者がお越しになっても、どう対応したらいいのか分からないから、あえて付き添いのお客さまに話しかけた方が楽だという思いもあるでしょう。でも別に車椅子利用者が特別な存在ではないために、一般の健常者と同じように話しかければいいと思います。
さらに気になるケースは、車椅子利用者の大半は、自分が乗っている車椅子のまま食事をすると思いますが、一部の高齢の方などはお店の椅子に乗り移りたい場合もあります。「車椅子利用者=席を動かす」と決めつけないで、お客さまの思いを確認する方がいい場合もあります。つまりお客さまに選択していただくように話しかけることがいいでしょう。
車椅子利用のお客さまがいらしても相手の気持ちを考えて行動すればきっと喜ばれる
逆にとても丁寧だと感じるポイントは、食事の注文の際、お水がセルフサービスの飲食店でも、従業員の方が「お水をもってきましょうか」と言っていただけると、すごく丁寧な接客応対をしていると思われるでしょう。店のマニュアルでは、お客さまが自分でお水をとりにいくという形になっているので、大半の従業員は、お客さまが車椅子利用者であっても、「お水はあそこにあります」とマニュアル通りに対応してしまいます。
大事なことは。せっかくお越しいただいたお客さまに喜んでいただきたいと思うことです。自分がお客さまの立場を考えて、「こうしてもらえば嬉しいだろう」、「こうされたらとても嫌だろう」と想像することで、やるべき行動が見えてくると思っております。以前世の中からいろいろと叩かれた居酒屋「和民」ですが、数年前に利用した際、席についてからの注文方法は、他のお店にはないとても感じの良い応対で感動しました。それは車椅子利用者と同じ高さの目線に合わせて、注文を受けるところです。上から目線ではなく、同じ高さというのが優しさや温かさを感じました。
接客は大事なポイントです。ちょっと嫌な思いをしたら2度と来なくなってしまうケースがほとんどです。しかし逆にきちんとした接客応対ができれば、他のお店との差別化を図れるサービスとなり、また行ってみたいと思うようになるものです。だからこそ少しでも車椅子利用者に応対するためのノウハウを覚えることで、車椅子利用のお客さまが来店されても素敵な接客ができるようになっていくでしょう。
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