「“親切”のつもりが逆効果?バリアフリー対応における接客の基本」
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バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
私は店舗や施設でのバリアフリー導入を支援する活動を行っていますが、バリアフリーは設備を整えるだけでは不十分です。
むしろ、お客さまへの接し方や配慮こそが、真のバリアフリーを実現する上で欠かせない要素なのです。
今回は、「バリアフリー対応において最低限知っておきたい接客のポイント」をお伝えします。
■ 同じ目線で接していますか?
たとえ設備が整っていたとしても、車椅子のお客さまやそのご家族・ご友人が従業員から冷たい対応を受けたら、「もう来たくない」と思われてしまうのではないでしょうか。
バリアフリーに注力するあまり、「設備=すべて」と思い込んでしまうと、接客の本質を見落としてしまうことがあります。
ひどい場合にはクレームに繋がり、店舗の信頼を損なうことにもなりかねません。
そこで重要なのが、相手の気持ちを想像し、思い込みをなくすことです。
例えば、車椅子の方を見かけて「困っているに違いない」と勝手に判断し、何も言わず背後から車椅子を押してしまう…これは“親切の押し売り”です。
中には、「自分で漕ぎますから大丈夫ですよ」と断っても、「いいんです、私が押します!」と、相手の意思を無視してしまう人もいます。
そんなとき、相手はどう感じるでしょう?見ず知らずの人に突然背中を押されたら、多くの人が驚き、戸惑います。
人にはそれぞれの気分や状況があります。「今は誰にも関わられたくない」「自分のことは自分でやりたい」という時もあるのです。
■ まずは「声をかけてから」が基本
最も大切なのは、まず声をかけること。
「何かお手伝いできることはありますか?」
「車椅子をお手伝いしましょうか?」
そんなひと言で、相手に選択肢を与えることができます。
もし「大丈夫です、自分でやります」と返ってきたら、無理に関わらず、そっと見守るのも配慮の一つです。
もちろん、時には不愛想に返されることもあるかもしれません。でも、それもその人の「その時の感情」なのです。落ち込む必要はありません。
■ 「思い込み」で接しないことが、良い対応の第一歩
バリアフリーに関わる接客で一番大切なのは、「相手の気持ちを尊重すること」です。
人にはそれぞれの考え方や価値観があります。
親切のつもりが、相手にとっては迷惑や不快に感じることもあるということを、常に頭に入れておきましょう。
「こうすべきだ」「こうするのが正しい」という思い込みを手放すことで、より自然で心の通ったコミュニケーションが生まれます。
思いやりを持った接客をしたいと思った時こそ、まず相手に問いかけ、反応を見ながら寄り添うことが何よりも大切なのです。
あなたの店舗や職場が、すべてのお客さまにとって居心地の良い場所になりますように。
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