いきなり「責任者出せ!」のクレームによる電話の対応とは?

2019.04.29 (月)

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あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。お客さま商売をしていて、どうしても避けたいのが「クレーム対応」ではないでしょうか?

 

しかも最近はお客さまが感情になりやすい傾向があるので、対応方法によっては余計に悪化してしまうこともあるでしょう。そういった状況の中で、どうしたらいいのかを考えてみたいと思います。

メンタルを壊しやすいクレーム対応

私も総合スーパーの人事総務課長時代は、店舗のクレーム担当責任者だったので、とにかく「責任者だせ!」のクレームに対して、年中対応していました。

 

年末年始などは10日間連続クレームの対応をしてきたときは、毎日出勤するたびに、「また今日もクレーム対応か?」とネガティブな気持ちになったこともあります。

 

実際に一例ではありますが、実際に対応していたクレームでは、下記のようなものがありました。

 

例えば、

 

  • ☑パーティーを開催したがハマグリが開かずみんなの前で恥をかいた
  • ☑息子がじゃんけんで負けてうまい棒一本もらえないで帰ってきた
  • ☑お店に出入りしているタクシーにクラクションを鳴らされた
  • ☑買ってきた墨汁が気に食わない
  • ☑買ってきた豆腐を自宅で床に落としたら割れてしまった

 

など、いろいろとありました。場合によっては、損害賠償、慰謝料請求、詐欺まがいのクレームなどもあったり、3時間以上拘束されたクレームなどもありました。

 

私以上にも、いろいろな経験をされてきている人が、たくさんいらっしゃると思いますが、注意しなければならないのが、絶対に自分のメンタルを壊してはならないことです。

 

クレーム対応はどうしてもハードな仕事です。なぜならお客さまの価値観や感情に対応しなければならないので、自分の思いを伝えて簡単に解決できる仕事ではないからです。

 

ガンガン文句を言われたり、怒鳴られたりすると、自分のメンタルを維持するのが厳しくなってくるでしょう。

 

場合によっては、お客さま自体を怖い存在だと思ってしまうかもしれません。お店で接客・応対をしたくないと思うくらいつらく感じてしまうでしょう。そんな経験はありませんか?

 

さらに自店で上司とのコミュニケーションがうまくできていなかったら、「失敗したら上司に怒られる…」「もっと大変なことになる…」なんて思ってしまいませんか?

 

だから絶対に失敗は許されないという思いで臨んでいらっしゃる方が多いのではないでしょうか?そういった具合に、クレーム対応に関わることで、ますますつらい立場になってしまいがちです。

ノウハウなしは無防備で戦いに挑むようなもの

大事なポイントは、絶対に完璧を求めないことです。ある意味、失敗したらしょうがないと開き直ることも必要です。そうでなければ、どんどん自分自身を追い込んでしまう可能性があります。

 

実際に価値観の違う人を相手にするので、失敗することがあってもおかしいことではありません。

 

でもそれでは解決しないだろうと思うかもしれませんが、ポイントはこちらからお客さまの価値観に合わせていくことで解決していくことができるでしょう。

 

そのために必要なことは、クレーム対応のノウハウ(型)を身に着けることです。ノウハウを知らないで対応することは、武器も防御の器具もない無防備な状態で、戦いに挑んでいくのと変わりありません。

 

でも残念ながら、企業の中ではあまりノウハウを教えてくれるような機会はあまりないために、自分の勘と経験だけを頼りにして、クレーム対応に臨む人を多く見てきました。だから相手にものすごく攻撃されて、メンタルまでもズタズタにやられてしまいます。

 

そういったことを防ぐためには、いかに自分でノウハウを身に着けるかがポイントになります。そしてどう対応するのかを知ることで、モンスタークレームの多い世の中で立ち向かっていけるのではないかと思っています。

 

私も現役時代は、数多くのクレーム対応の本を読んだりして、自分にとって役に立つノウハウ(型)をチョイスして、身につけることができました。

 

だから行き当たりばったりで対応するのではなく、必ずノウハウを身につけて対応することをおすすめします。だからこそ今回は、少しでも自分の知識がお役にたてればと思い、書くことに決めました。

 

まず今回お伝えするのは、クレーム電話の対応です。その中でも電話の場合は、大方「激怒系」か「ネチネチ系」に分かれると思います。

 

今回は、電話で激怒系のクレームが来た際の対応はどうすればいいのかを考えてみたいと思います。これがうまくいくだけでも大きなバリア解消につながるでしょう。

激怒系のクレームは冷静になるまで待つ

激怒系のクレームの電話に対しては、ネチネチ系に比べると、まだ対処しやすい点が特徴です。

 

なぜなら感情がむき出しになっているだけで、感情が抑えられていけば、冷静にお話することが可能になったりします。

 

逆にネチネチ系の場合は、従業員の発言1つ1つにミスを誘いこみ、原因を追求しようとする悪質な面をもっています。

 

ネチネチ系は、お客さまが企んでいるので、一筋縄ではいきません。でも激怒系のクレームは、一見難しいように見えますが、とにかく傾聴することで解決しやすいと思います。

 

電話がかかってきて、「責任者を出せ!」と来たら、そこからがスタートです。電話をつないだ瞬間に、闘牛ショーでいきなり闘牛が、こちらへ突進してくるかのようなお客さまのマシンガントークがさく裂します。

 

闘牛ショーであれば、闘牛士が牛の動きを見ながら左へ右へ誘導しますが、さすがに電話の勢いにおいては、誘導することができないでしょう。むしろ向かってくるお客さまの声を、正面から受け止めることになります。

 

そしてマシンガントークは、最低5~10分はかかります。とにかくここはじっと我慢です。絶対にお客さまの話をさえぎらず、ひたすら相手の気持ちに寄り添っていくことです。

 

ところどころに相槌を入れて「そうですよね」「私もお客さまと同じ立場だったら、辛くなると思います」とか入れていくと、感情むき出しな状態から、少しずつクールダウンしていくことがほとんどです。

冷静になるまで反論・言い訳はNG

逆に絶対にやってはならないのは、途中で反論やいいわけすることです。

 

例えば、途中で「おっしゃることはよくわかりましたが…」と言ったら最悪です。まさに火に油を注ぐ行為になり、マシンガントークが余計にエスカレートするでしょう。

 

お客さまの心理から考えれば、「私があなたのお店によって苦しめられたのに、責任者のあなたはなんて態度だ。言い訳をするのか。ふざけるな!」と思うでしょう。

 

場合によっては、「あなたじゃ話にならないから、上の責任者を出しなさいよ!」となってしまい、せっかく対応をしたのに、失敗になってしまうこともあります。

 

だからこそ、お客さまの気持ちに寄り添って聞いてあげることが、重要なポイントになります。それだけでお客さまのトーンがものすごく変わっていくでしょう。

 

コツは気持ちをお客さまモードに入れ替えることです。お客さまモードとは、お客さまの気持ちになって考えてみることです。

 

簡単に言いますと、いかにお客さまに合わせた演技をしていき、「私はお客さまの味方です」という気持ちを相手に伝えることです。

 

なぜならお客さまとしては、分かってもらえたということが、一番期待しているポイントだからです。しかも従業員の態度などによるクレームであれば、お客さまに寄り添うだけで終了になることがほとんどでしょう。

 

つまり「私のことを分かってもらえた」状態にもっていくことです。(事件・事故・有症苦情など事実確認が必要なものを除く)

ネチネチ系はその場で解決しないほうがいい


ネチネチ系は、とにかく粘着質で悪質なクレームに近いので、ネチネチとこちら側を辛い局面に追い込もうとしてくるでしょう。

 

しかも何かとこちらに質問してくるでしょう。そしてこちらの発言ミスを誘うかのように徹底的に攻め込んできます。

 

「じゃあ何であんな態度をしたんだよ。あなたのおっしゃっている発言はおかしいじゃないか?」とさらに突っ込んできます。こうなるとドンドン相手のペースに巻き込まれていくことが多いものです。

 

この場合は、その場で急いで解決しようと考えるのではなく、できる限り誠実に対応するために、「事実確認をしてから、きちんとお客さまにご報告させていただきます」と伝えたほうがいいかもしれません。

 

しかも電話で「責任者出せ!」とかかってきた時点では、売場でどういったトラブルがあったのかが全く把握できないからです。

 

そこで曖昧な言葉を述べてしまうことで、余計に事実と異なる結果になってしまい、2次クレームになりがちです。

 

後日、きちんとした事実確認をしたうえで、お客さまに回答するほうが私の経験上では、うまくいくことが多かったように思います。

 

もちろん、この手のタイプの場合は、1週間くらい経過してやっと終了したこともありますが、誠実に対応していけば、解決を迎えることはできるでしょう。

クロージングはいかにハッピーにもっていけるか

そして最後になりますが、お客さまとの対応を終えるクロージングの決め手は、次のような話し方です。

 

「今回は大変申し訳ございませんでした。お客さまのお申し出によって、私どもは大変勉強になりました。本当にありがとうございます。もし今後何かございましたら、いつでもお気軽に、わたくし〇〇に直接お電話をください」と言っておくと、お客さまもまた次に来店しやすくなるでしょう。

 

ポイントはクレームのことなら「わたくし〇〇に直接」と伝えておくことです。責任はすべて私がとりますという姿勢を相手に伝えておくことです。

 

実際に、そうは言っても、意外にその後、自分に電話がかかってくることは、ほとんど発生しないでしょう。

 

もし発生しても、一度お話しているので、対処しやすいと思います。そして大事なことは、最後はハッピーな気分で、終わりにさせるクレーム対応が私の目指していたポイントです。

 

お客さまもまたお越しになりやすいような状況をつくってあげることも、クレーム対応のコツだと思っています。

 

もちろん例外もたくさんあると思いますが、大事なことはいかに「型」を覚えておき、実践できることです。

 

そして少しでもクレーム対応でメンタルに影響が出ないようになることを心から願っております。ぜひともご参考になればと思っています。

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