そのマニュアル、誰のため?車椅子利用者に選ばれる店になる「一歩先の接客対応」
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
多くの企業や店舗で、「サービスの標準化」を目的に接客マニュアルが導入されています。
マニュアルは、スタッフが迷わず対応できるという点で非常に重要です。
しかし、それが画一的すぎる対応になり、障害のあるお客さまへの配慮が欠けてしまうこともあります。
そこで今こそ必要なのが、マニュアルを超えた“臨機応変な接客”です。
お客さまにとって「あなた=そのお店」になる
「Aさんの接客はすばらしかったのに、Bさんは感じが悪かった」
そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
どちらのスタッフであっても、お客さまにとっては「お店の代表者」です。
たとえば、セルフサービスのお店で車椅子のお客さまが来られたとき、
マニュアル通りに「お水はあちらにあります」と案内した場合、
その方が取りに行けなければ、“配慮のない店”と受け取られてしまうかもしれません。
特に、アルバイトなど経験の浅いスタッフは臨機応変な判断が難しく、
マニュアル通りの対応しかできないケースが多くなりがちです。
これは再来店の機会を失う大きな要因にもなります。
「マニュアル+α」が信頼される接客になる
日本では「マニュアル遵守」が重視されすぎるあまり、
お客さまの立場に立った柔軟な対応が軽視される傾向があります。
たとえば遠方から車椅子で来店されたお客さまがいたとしたら、
「ここに来てくれてありがとう」という気持ちを接客に乗せることが、
心のバリアフリーへとつながります。
これはマニュアル違反ではなく、お客さま満足度(CS)を高める対応です。
組織全体で“心のバリアフリー”を育てる方法
もちろん、スタッフごとの対応に差が出てしまっては意味がありません。
そのためにも、次のような取り組みが効果的です。
- ミーティングやロールプレイングを通じて事例共有
- 車椅子利用者当事者を交えた勉強会の開催
- 「どんな対応がうれしかったか」を考える時間を持つ
こうした機会が、スタッフの意識を高め、“マニュアル以上の対応”が自然にできる職場へと育っていきます。
最終的には、従業員の満足度(ES)も向上し、
チーム力の向上とお客さまへの信頼構築につながります。
選ばれるお店になるために、今できる一歩
バリアフリーというテーマは、実はすべてのお客さま満足に直結するテーマです。
小さなことでも、「これって困っていないかな?」「ちょっと声をかけてみようかな」と思える職場こそ、選ばれる店舗・企業になる力を持っています。
もし社内研修などで「接客の見直し」や「バリアフリー勉強会」をご検討される場合は、
私もお手伝いできますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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