働く車椅子ユーザーにとって段差は行き止まりと同じ

2017.10.30 (月)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。車椅子を利用していると物理的バリアの中で4つのバリアに遭遇します。「トイレのバリア」「駐車場のバリア」「通路幅のバリア」「段差のバリア」です。4つのバリア以外にも物理的バリアはありますが、私としてはこの4つのバリアがクリアしないと就労に影響すると思っています。車椅子ユーザーにとって少しでも働きやすい職場環境になっていくことが望まれます。今回は「段差のバリア」について説明します。

1㎝以上の段差は前輪が上がらないとクリアできない

車椅子の走行において段差によりクリアできないことがよくあります。前輪キャスターを持ち上げることができる人とそうでない人では大きく環境が変わってきます。前輪キャスターを持ち上げることができる人ならば、7㎝以上の段差はクリアすることができますが、そうでない人にとっては1㎝を超えた時点でクリアできません。

 

健常者の人がこれくらいならばクリアできると思う事は、残念ながら基準になりません。実際に車椅子に試乗してみるとクリアできないことがよく分かると思います。「クリアできない=目的の場所へ行けない」ということです。つまり行き止まりなんです。

 

行き止まりでもチーム内にいる従業員に「取ってもらえますか?」と質問をしたら取ってくれるにちがいありません。でも1日のうちに何度もお願いすると面倒臭くなるものです。頼む側も頼まれる側も不快な思いをすると思います。ただ通路幅と比べて段差を解消するにはとても大変なことです。

段差の解消には場所とお金がかかる理由

通路幅を解消するには、不要なものを取り除いたり、机を動かしたりすれば簡単になるものですが、段差の解消にはお金がかかります。1段の高さが低いのであれば段差解消のための小さなスロープを用意すればいいと思いますが、そうでなければスロープ自体を設置することができない場合もあります。

 

なぜなら車椅子で段差を解消するには角度が大きなポイントになります。通常であれば1上がるのに12の長さが必要になるわけです。もし10㎝の高さをクリアするには120㎝の長さを用意しなければなりません。そのスペースがあるのかないのかと言えば大概は難しくなります。

 

取り外し式のスロープという方法もあります。出勤時に設置して退勤時に取り外す方法です。この取り外し式のスロープを以前購入したことがありましたが、7万円前後でかなり重量があるものでした。ただこれがあるだけで車椅子ユーザーにとっては段差の解消になるので嬉しいものです。

車椅子ユーザーの立場で使いやすくなるのかが大事

今までは段差の解消について述べてきましたが、どうしても段差を解消できない場合は、必要なものを段差のないところへ移動することが簡単です。わざわざ段差のある部屋に置くのであれば、段差のない部屋へ移動すればいいということも考えてみて下さい。

 

大事なポイントは車椅子ユーザーにとって使いやすいかどうかです。社内の入口などであれば段差解消はやむを得ませんが、そうでなければどうしたら使いやすくなるのかを考えてみて下さい。いかに働きやすい環境にしていくことによって、車椅子ユーザーでも活躍できる場になるはずです。

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