風通しのいい職場環境こそが職場のバリアフリーを作る

2017.09.04 (月)

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車椅子ライフデザイナーのまおうです。車椅子ユーザーを職場に迎えるにあたり、上司の方々やチームのメンバーに知っておいていただく必要のあるポイントを述べたいと思います。自分の職場ではどうかを考えてもらうきっかけになればと思っております。

車椅子ユーザーはアルプスの少女ハイジに登場するクララのようにはならない

まず車椅子ユーザーについてですが、単に歩けないから車椅子に乗っているだけではないということです。アニメ「アルプスの少女ハイジ」に登場するクララが、ある日突然歩けるようになったような設定になっています。立てないことをハイジに「クララの意気地なし」と言われていますが、車椅子ユーザーは気合と根性で立つことができるようなものではありません。

 

脊髄に病気があったり、事故などにより損傷したり、それ以外の病気によって麻痺をしているために、立位・歩行ができません。さらに立位・歩行以外にもいろいろな症状があったりします。その症状は様々なため個人に確認しなければ分からないでしょう。

 

私の場合は、脊髄損傷の胸椎5番を損傷しているため、胸から下が麻痺しています。腕は自由に動かすことができますが、腹筋・背筋が効かないだけでなく、排尿・排便などのコントロールにも気を付けています。さらに肋間神経痛があるので、胸まわりがいきなり激痛に襲われます。

 

そして立位・歩行については完全損傷をしているので、立つことも歩くこともできません。そして以前、褥瘡(床ずれ)になった経験からお尻の褥瘡予防には十分注意しています。

上司やチームメンバーが症状などを確認しておくことが大事なポイント

症状は、車椅子を利用していても人によって全く違います。入社したばかりの方は、自分の事情を話しするのが難しいかもしれません。どうしても遠慮してしまう傾向があります。また在籍している車椅子ユーザーであっても、自分の身体の事はなかなか言いだしにくいものです。

 

だからこそ上司やチームメンバーがきちんと確認しておく必要があります。チームを円滑にしていくには重要なポイントだと思います。ちなみに私が車椅子ユーザーになって復帰した職場の従業員用の身障者用トイレは、全く使えない設計になっていました。私も復帰直後には「このトイレは使えません」と言い出しにくく、ペットボトルを持参してトイレを使っていました。

私は上司の課長によってトイレの問題を救っていただいた

ある日、上司の課長が「何か困っていることがあったら言ってほしい」と声をかけてくれました。私は正直にその旨を伝えることにしました。そうしたら「そういうことなら早く言ってくれよ。すぐに直すから」と言ってくれました。ありがたかったです。

 

そして100万円をかけてすぐに修繕工事をしてくれたのです。しかも使い勝手のチェックは、利用する私も立ち会って行われました。こういったことを上司と部下の間でコミュニケーションがとれることが大事なポイントだと思います。

 

十数年後、同じ職場で自分が課長になった時には、その時のありがたさを忘れずに、従業員の声に耳を傾けるように実践したつもりです。でも社内における他の職場では、なかなか風通しのいい職場環境が行われていない現実もありました。とても残念なことです。

 

私もこの上司と巡り会わなかったら、トイレの修繕工事も行われずに我慢していたのかもしれません。また100万円かかるのなら絶対に無理と判断する上司に当たっている可能性もあります。そういった事を考えると私はいかにラッキーだっと思うくらいです。

風通しのいい職場環境こそが職場のバリアフリー

重要な事は、コミュニケーションを通して、気軽に話ができる環境を作っていく事です。そうすることで車椅子ユーザーが話しにくいことも打ち明けてくれるにちがいありません。それが職場のバリアフリーにとって大切なことだと分かっていただけたらありがたいです。

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