障害者雇用における意識上のバリアをなくすことが大事
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。障害者に対するバリアは大きく4つある中でも「意識上のバリア」が一番辛いバリアではないかと思います。障害者雇用においてちょっとした言葉によって相手を傷つけてしまうケースはよくあるものです。私も意識上のバリアでは悩んだことが何度もあります。どういったことが意識上のバリアになるのでしょうか?
29歳の時に退職勧告を受けることになった
私がちょうど29歳の時です。社内では24歳・29歳・34歳・39歳という節目には、5年・10年後にはどういった職種・役職に就きたいかを人事担当者が確認することになっておりました。その時はたまたま人事担当者ではなく、当時の店長のAさんが私の面談を行いました。
車椅子ユーザーだったので、転居を伴う転勤が難しかった状況でした。それでも私としては当時主任としていたこともあり、いつかは総務課長の役職に就きたいとお伝えしました。総務課長というのは店長の直属の部下となります。店舗においてNO2の立場になることでした。
そこでAさんから言われたのは、「あなたが私の部下の課長になってもらったら困るんだよね。店舗で起こる事故・事件・クレームなどが発生した場合、車椅子のあなたができるわけがないじゃないか。社内では車椅子で出世をすることはできないから、退職した方がいいと思うよ。もしあなたが何かに目指しているのであれば、別の仕事に就いた方があなたのためだよ」
意識上のバリアをつい口にしてしまうケースが多い
将来のための面談が退職勧告面談になるとは思ってもいませんでした。何でそこまで言われなければならないのかものすごく悩みましたが、元の上司などに相談したところ、「それは会社の考え方ではない。努力をすれば車椅子ユーザーであっても課長をすることは十分可能だと思うから心配するな」とおっしゃってくれました。
それから9年が経ち、私は38歳の時に課長に就くことになりました。おかしなことに9年前に面談をしたAさんに偶然お会いすることがありました。その時には私は課長で、Aさんは別の組織の部長になっていました。私の手を握り「おめでとう!君が課長になると思っていたよ」とドヤ顔で近づいてきました。
Aさんからすれば、私に対する発言は覚えていないでしょうし、上司・部下の関係ではないので私が昇進しても、影響が出ないという点からそういう行動になったのだと思っています。その後も実際には障害があるという理由で意識的バリアを受けることはありました。
相手の価値観を認めてあげる気持ちが必要
あくまでもこういったことは個人的な意見であり、社内の考えではないのは分かっています。今後は、意識的バリアをなくしていくためにも、従業員へのダイバーシティの教育をしていく必要があると思っております。いろいろな人がいて成り立っている社会の中で、相手の価値観を認めてあげる気持ちを誰もが持てることが望まれます。
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っていたよ」と擦り寄ってきました。
Aさんの部下ではないので、Aさんにとっては私が課長になるかどうかは関係ありません。だから喜んでくれたのでしょう。もちろんAさんが私に対して言った内容は覚えていないでしょうが、言われた側は当然あのシーンをはっきり覚えています。これが社内の組織というものなのかもしれません。利害関係の有無でこれだけ変わってくるものです。
まずは幹部から考え方を学んでほしい
その後は、障害者差別解消法が2016年4月に施行されましたが、実際に施行後でもあっても、当事者としては、社内に対して反論はしにくいでしょう。障害者に対する既成概念を持っている人に対しては、発想を変えて考えてもらうことはなかなか難しいものです。まずは経営者や経営幹部の方から考え方をきちんと学んでいただけることを願うばかりです。
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