安全・安心のバリアフリーには車椅子の後方スペースの確保がポイント
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あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。店内のスペースの中で車椅子が走行できるようにする通路幅を確保することは大きなポイントですが、食事をとるときのスペースは前方のテーブルの高さなどと同時に気をつけていただきたい部分が車椅子後方のスペース確保です。なぜ車椅子の後方部分が重要なポイントなのかをご説明します。
車椅子の後方のスペースを確保する
もちろん誰かが後方で支えているのであれば問題はありませんが、そうでなければバックミラーがついているわけではありませんし、身体をひねることができないために後ろにどれだけのスペースがあるかも分からないでしょう。そのため、後ろに何があるかを把握できない状態のままです。そこで車椅子を後ろ向きに漕いだ場合、後ろに障害物があったらそれにつまずき、車椅子は不安定となり、転倒することも考えられ、危険性をはらんでいることが分かります。
あとは、自走式の(自分で漕ぐための)車椅子はあまり寄りかかったら、後ろに倒れやすい構造になっています。車椅子の後輪を見ればわかると思いますが、自走式の中心は介助式とは違っていて、車椅子を漕ぎやすくするために、中心軸が少し前のほうにあります。そのため軸が前にある分、背もたれによりかかると倒れやすくなります。
私も車椅子を乗り始めた2年くらいは、外出中や仕事中にバランスを崩して、後ろに倒れてしまうことがよくありました。1回は後ろに障害物があったために、頸椎の上の部分にぶつかって血を流して、救急車で病院へ搬送されたこともあります。幸いにして、頸椎でも脳の部分でもなかったために大きな事故にはなりませんでした。そういった意味においても、車椅子の後ろは危険が潜んでいることを知っていただきたいと思っております。
安全・安心のあるお店づくりが大きなポイント
そういったことを踏まえると、飲食店などでもテーブルとテーブルの間を多少確保しないと、後ろの方にぶつかってしまうこともあるでしょう。また手動の車椅子は意外にも小回りができない部分があるために、その場で転回しにくい点があります。そのため、転回できるスペースをつくっておき、前方で車椅子を進めるようなスペースの確保があってもいいかもしれません。
どうしてもお店のスペースを確保するのは難しいことと思います。しかも客席を減らすことで収益上に大きく影響するかもしれません。でも事故が発生しない取り組みももう片方で必要なものです。またスペースを確保することで、お客さまや従業員も使いやすいようにも変わるでしょう。お店を運営する際には、安全・安心を重視することも考えてみるのはいかがでしょうか?
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