車椅子利用においてエレベーターには鏡の設置を検討したい
Contents
あなたのお店の『バリア解消』請負人 バリアフリースタイル代表の白倉栄一です。お店の運営を考えたときにちょっとしたことでトラブルになることはありませんか?私は課長時代にケガをしたお客さまから損害賠償請求を受けた経験があります。示談するまでに数ヶ月もかかり、それ以外の業務にも影響を及ぼしたことを覚えています。そういったトラブルに遭わないためにも、常に安全対策を講じていく必要があります。今回は車椅子利用のエレベーターについて考えてみたいと思います。
車椅子で後進するのは意外と危険につながる
自転車では後ろに下がることはできませんが、車椅子ではハンドリムを握って、後ろに漕ぐだけで下がっていきます。しかし車椅子で後ろに下がるというのは、意外に危険なものであり、後ろに人が立っていたら、場合によっては足を踏みつけてしまうことも考えられますし、物があればぶつかってしまうことも考えられます。
また衝突がきっかけで後頭部から転倒することも考えられます。クルマで言うならば、バックビューモニター、サイドミラー・ルームミラーを見ないで、後進するようなものではないでしょうか?そう考えれば、車椅子で後進していくことは危険な面も持ち合わせていることになります。
でもどうしても後進しなければならない場合があります。それはエレベーターに乗る場合であり、人がいない、もしくは少ない場合はエレベーターの中で方向転換をして、前進で降りることが可能ですが、混雑している場合は、乗り込むときが前進であったら、降りる時は後進になります。その際に後ろは全く見えないので危険につながります。
エレベーターに鏡があることでバックミラーになる
そこで提案したいのが、エレベーターの内部に鏡をつけておくのはいかがでしょうか?正面に鏡をつけているタイプはよく見かけますが、混雑しているとその鏡を見ることが不可能になります。なぜなら空いているときは方向転換をするので鏡の必要がなく、混んでいるときは人が鏡の前に立ってしまうので見ることができません。
ではどうしたらいいのでしょうか?エレベーター奥の上部にミラーを置いておくことです。そうすれば入口付近がわかるようになり、車椅子利用者はそのミラーを見ながら、後進することができます。混雑していても、ジャイアント馬場さんのような2メートルを超えるような人がいない限り、視界の妨げにもなることはありません。
しかもこのミラーは、車椅子利用者だけが役に立つものではなく、ベビーカーを利用する奥さまであったり、一般の人でも身体の向きを変えられない場合にも役に立つものです。まさに誰にでも役に立つユニバーサルデザイン的なものとなるにちがいありません。
車椅子利用者の目線を知ることがきっかけになる
でもこういったことをどうしたら思いつくのかがポイントですが、車椅子利用者の目線を知ることでないでしょうか?飲食店や商業施設などに設置されている貸出用の車椅子を試乗してみてはいかがでしょうか?もちろんあくまで目線を知るという目的のために、店内のありとあらゆるものをチェックするといいでしょう。手で届くのかどうか、方向転換できるスペースがあるのかなど。
体験することでこれから多くなっていく車椅子利用者における対応が、少しでも分かるようになるのではないでしょうか?また併行して行うのは、実際に車椅子利用者へのヒアリングです。どういったことを工夫すれば使いやすくなるのかを聞いてみることをおすすめします。
大事なことは何でもできる健常者の視点ではなく、車椅子利用者だったり、ベビーカー利用者だったりハンディキャップを抱える人からの見方を考えていくことで、普段ではなかなか気づきにくいポイントがわかり、多くの人が利用しやすい環境になっていくのではないでしょうか?
今では何気なく使われているライターであっても、もとは片手しか使えない人がマッチを使えないので、どうしたら片手でできるのか考えてつくられたものです。こうして現代に至るまで、片手しか使えない人だけでなく、一般の人までが愛用する品となりました。そういったアイディアこそが今後の社会に大きく役立つのではないでしょうか?
関連する投稿
- 車椅子・ベビーカー走行における屋内の路面のポイント
- 車椅子利用者の必要なニーズを掴むことのポイントとは?
- 車椅子で行ける店舗かどうかはストリートビューでも調べている
- 店舗として知っておきたい都内の身障者用駐車スペース事情
- 車椅子利用者が感じるバリアフリー化設計ミスとは?
現在の記事: 車椅子利用においてエレベーターには鏡の設置を検討したい