バリアフリーじゃないから諦めているお客さまに、あなたのお店は気づいていますか?
人の本音に気づくのは、想像以上に難しいことです。
たとえば、お店の商品が気に入らなかったとしても、多くの人は何も言わずに静かに立ち去るのが一般的です。
はっきりとクレームを伝えてくれるお客さまは、むしろごく一部にすぎません。
これは、バリアフリーの場面でもまったく同じです。
車椅子ユーザーの方が「このお店に行ってみたい」と思ったとしても、バリアフリーに対応していないと分かれば、利用をあきらめてしまうことがあります。
そのお店にどうしても行きたいという強い想いがない限り、「手伝ってもらえますか?」と声をかけることはほとんどありません。
つまり、声をかける前に諦めてしまうという選択肢を取っているのです。
だからこそ、お客さまの“本音”に気づく感性が、今とても大切になっています。
行くのを諦めている人がいることをご存知?
ある方の体験を紹介させてください。
その方の子ども時代、卒業式など特別な日に家族で訪れていた、九州の有名な中華料理店がありました。
地元でも人気のそのお店は、今でも変わらず営業しています。
長い年月が過ぎ、その方は結婚を経て茨城県で暮らすようになりました。
「次は自分が両親を連れて行ってあげたい」と思い、帰省の際にそのお店を訪れようとしましたが、大きな壁が立ちはだかります。
そのお店は階段を上がった2階にあり、足の不自由な両親には上がることができなかったのです。
そして数年後、お父さまが他界され、その想いは叶わぬままになってしまいました。
今もお母さまと「いつか行けたら」と思っているそうですが、いまだにバリアフリー対応にはなっていません。
ちなみにそのお店の名前をお聞きしたところ、なんと偶然にも、私自身が2年前の日本一周の旅で訪れようとしたお店と同じだったのです。
地元の名物料理を提供する有名店ということで、訪問を楽しみにしていましたが、そのときも「バリアフリーではない」と断られてしまった経緯がありました。
ふと思ったのは、そのお店が本当に魅力的な場所であればあるほど、「行きたいけれど諦めた」という方が他にもたくさんいるのではないか、ということです。
お店の方々は、そうしたお客さまの存在に気づいているのか、それとも気づかずにいるのか、どちらでしょうか?
お客さまの思い出のあるお店だからバリアフリー化に意味がある
地元で長く親しまれているお店には、お客さま一人ひとりにとって大切な思い出があります。
だからこそ、バリアフリー化に踏み切ることができれば、その思い出の続きを紡げるようになります。
お店としての価値も、きっとより高まるでしょう。
「最近、常連のお客さまが来なくなったな…」と感じたことはありませんか?
それはひょっとしたら、お店がバリアフリーではないことが原因かもしれません。
その“気づき”こそが、お店の未来を変える一歩になるかもしれません。
バリアフリー化によって、お客さまが戻り、さらに新しいお客さまとのご縁が生まれる——そんな可能性を信じて、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
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