車椅子利用であっても「気軽に楽しめるレベル」になること
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。現在はバリアフリー化の有無だけがポイントになっているものの、今後の店舗展開におけるポイントは「気軽」「楽しめる」を発想できるかではないでしょうか?それは具体的にどういったものなのでしょうか?
車椅子席利用に対して万全すぎるのは嬉しいが…
あるスポーツ観戦の車椅子利用方法です。私的にはこの車椅子席利用の対応については、他の施設に比べてとても対応がいいと思っております。その上で今後はどうなっていく必要があるかを考えてみます。
まず予約ですが、試合日程の1ヶ月前の15時までにスポーツ施設へ電話をいれます。ここでの電話は15時からの抽選の対象になるための前段階です。そして15時の抽選によって当選が決まりますが、人数に満たない場合は、すべての方が当選になります。
当選者への電話の際に、駐車場の利用有無(予約)・車のナンバー・現地の到着時間などを確認します。そしていざ当日においては、駐車場入口で係員がナンバーをチェックして専用駐車スペースへ誘導します。
駐車場からスポーツ施設の関係者入口へ移動し、受付チェックと現金の支払いをします。そして係員がEVから観戦スペースまで誘導をします。車椅子観戦スペースと掲示された場所(外側からは車椅子利用者が見えないようにカーテンで仕切る)へ案内します。
観戦スペースは1塁側と3塁側にあり、(予約時に連絡した順番か当選順番か分かりませんが)該当のスペースに固定します。同伴している人とは隣で観戦することはできず、前列は車椅子利用者、後列にはパイプ椅子で同伴者(事前に予約した2名まで)になります。
トイレや観戦スペースについては、10年ほど前までは3塁側(対戦相手側)にしかなかったものの、現在は1塁側(ホームチーム側)にも設置されていますとここまでの対応については、他の施設と比べてもものすごい徹底ぶりではないかと思います。
欲を言えばもっと「気軽に観戦できる」ような環境を
しかし今後の部分を考えると、各担当者のお客さまへの徹底ぶりはすごいと思いますが、利用者側から考えると「スポーツを観戦する気軽さ」が欲しいものです。むしろ一般の方の利用の仕方と差がありすぎる点が違和感も感じてしまう部分すらあります。
一番気になるのは、観戦スペースにおいてです。一緒に来た方と前列と後列に分かれて観戦することが改善できないかです。せっかく観戦するのであれば、横並びで見たいと思ってしまいます。しかも同伴者に対してパイプ椅子ではなく、もうちょっと疲れない椅子にすることができないかです。
さらに車椅子観戦スペースとしてカーテンで仕切るとどうしても隔離されているような感じもします。多分、カーテンで仕切らないといろんな人がそのスペースへ入ってくることを考えての取り組みだと思いますが、「特別な存在」という感じも否めません。
今後はアメリカのように一般席を取り外して、同伴者と横並びで観戦でき、見たい場所で見れるような方法が望まれます。いかに「車椅子利用=特別な存在」としないで、一般の利用者と同様に楽しめるような環境こそが利用者に喜ばれるような対応ではないでしょうか?
予約がWEBでもできるともっと気軽になる
さらに予約方法についても、電話だけでなくWEBでも登録できるようなものになればと思っております。そうすることで「1ヶ月前の朝~15時までの電話」から「1ヶ月前の15時までにWEB登録」になることで余裕ができるように思います。
あとは些細な点ですが、現地の誘導をするときに大声で「車椅子が通ります!」と発してかきわけて進んでいくところです。どういった言葉が適しているのか分かりませんが、車椅子利用者からすると違和感を感じてしまいます。分かりやすい言葉が「車椅子」なのかもしれませんが、「失礼します」と言うくらいでもいいのではないでしょうか?
今後は車椅子利用者が増えていく社会になる中で、車椅子利用者を「特別な存在」とかではなく一般の人と同様に「気軽に楽しめる」ようなレベルをしていくことではないでしょうか?そういった点を踏まえた店舗設計が当事者の方から喜ばれるのではないかと思っております。
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