【保存版】段差のバリアが集客を左右する!バリアフリー店舗設計の必須ポイントと施工基準
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
これからバリアフリー化を進める店舗・商業施設の皆さまへ。
今回は、車椅子利用者にとって外出時の大きな障壁となる「4大バリア」の中から、とくに集客に直結する「段差」の問題について詳しく解説します。
【結論】段差対策は店舗の集客力を大きく左右する
車椅子ユーザーにとって大きなバリアは次の4つです。
- 多目的(身障者用)トイレがない
- 身障者用駐車スペースがない
- 段差がある
- 通路幅が狭い
この中でも「段差」は、ほんの数センチでも致命的な問題になることをご存知でしょうか。
集客を考える店舗にとって、段差対策を怠ることは大きな機会損失を生むリスクがあります。
【理由】たった1段の段差でも車椅子ユーザーは利用を諦める
「1段くらいなら大丈夫でしょ?」と考える方も多いかもしれません。
しかし、実際には1cm程度が安全な限界です。
基準では2cmまでとされていますが、それでも前輪のキャスターを持ち上げないと乗り越えられません。
7cm以上の段差になると、アスリート級の技術がない限り自力ではクリア不可能です。
さらに2段以上の段差になると、介助者の力だけではなく複数人の補助が必要になるため、一般の車椅子ユーザーにとっては完全に利用不可となります。
【具体例】スロープ設置は勾配基準を必ず守る
段差対策としてスロープを用意する場合、重要なのは「勾配基準」を守ることです。
基準は1/12、つまり1mの高さに対して12mの長さが必要です。
角度にすると約4.8度です。
車椅子で自走するには少し大変ですが、一般的には介助者が必要となる場合が多いです。
ベストとなると基準は1/15、1mの高さに対して15mの長さが必要になります。
角度で約3.8度で、車椅子での自走が可能です。
「とりあえずスロープを設置すればOK」と安易に考えるのではなく、利用者が安全に使える仕様にすることが欠かせません。
【提案】段差対策は専門家と当事者の意見を取り入れる
設備投資をするなら、確実に使える形に仕上げることが最も重要です。
残念ながら、現状は「せっかく作ったのに使いにくい」と評価されてしまう施設が多いのが実態です。
専門家や当事者の声を施工前に取り入れることで、実用的なバリアフリーが実現できます。
これが最終的に集客力や施設評価の向上につながるのです。
【まとめ】
- 段差はわずか1cmでも車椅子ユーザーには大きな障壁になる
- スロープ設置は「勾配基準1/12」を厳守する。できれば「勾配基準1/15」が望ましい
- 専門家・当事者の意見を取り入れて、実用的な設備にする
- 段差対策は集客力向上に直結する投資
【メッセージ】
あなたの施設は、本当にすべてのお客さまを迎え入れる準備ができていますか?
段差対策は設備投資の中でも最優先に取り組むべき部分です。
今からでも遅くありません。
ぜひ当事者の声を取り入れて、集客力の高い、誰もが利用できる店舗を目指しましょう。
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