「段差だけじゃない!車椅子ユーザーが直面する“見えないバリア”とは」

2025.06.02 (月)

バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。

 

車椅子の「バリア」と聞くと、段差や坂道を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

 

でも実際に車椅子を利用してみると、それだけではないことに気づきます。

 

細かな設計や路面状況など、意外な部分にも注意が必要なのです。

 

これからバリアフリー化を進めたいと考えている方には、ぜひ知っていただきたいポイントがあります。

 

今回はその具体例をご紹介します。

 

舗装してある道路でも「バリア」がある理由

 

車椅子に乗っている人が不便に感じる路面の例を挙げてみます。

 

舗装していても凹凸がある道路

舗装されていない土や砂利の道

石畳(神社やテーマパークなどに多い)

道路にあるグレーチング(排水溝の金属格子)

 

たとえ坂や段差がなかったとしても、上記のような要素があるだけで、バリアになってしまうのです。

 

舗装された道路も、一見スムーズに見えて実は走りにくいことがあります。

 

特に舗装が粗い道路では、車椅子の前輪(キャスター)が細かい振動をもろに受けてしまいます。

 

この衝撃が続くと、走行しづらくなるだけでなく、疲労や身体への負担にもつながります。

 

最近では、キャスターにサスペンションを搭載した車椅子も登場していますが、それでも限界があります。

 

未舗装路面や石畳は“進行不能ゾーン”になることも

 

舗装されていない道では、キャスターが土に沈み込んでしまい、スムーズに進めません。

 

石ころも障害となります。タイヤの隙間に挟まるとパンクする可能性もあります。

 

介助者がいればウィリーのようにキャスターを浮かせて進むことができますが、それも長距離では負担が大きくなります。

 

また、神社やテーマパークでよく見かける石畳も要注意です。

 

石と石の間に隙間があると、キャスターがはまり込んでロックされ、身体が前に投げ出されてしまうこともあります。

 

特に自力で支えが難しい方にとっては、膝を強打するなどの大けがにつながるリスクがあります。

 

グレーチングの隙間は「落とし穴」になる可能性も

 

グレーチング(排水溝の金属格子)も気をつけたいポイントです。

 

隙間が広いタイプでは、キャスターがハマってしまい転倒する危険性があります。

 

私自身も過去にこのような場面で、身の危険を感じたことがあります。

 

その経験以降、少しでも危険が感じられるときは、その場所を通るのを潔く断念するようにしています。

 

段差や坂道だけがバリアではないことが、これでよく分かっていただけたのではないでしょうか。

 

設計前に「車椅子での体験」をしてみることがカギ

 

社会にはまだまだ「見えないバリア」が多く残っています。

 

車椅子の特性を知っていれば、設計段階での配慮も可能になります。

 

おすすめなのは、車椅子ユーザーの声を直接聞くことや、実際に試乗してみること。

 

そうすれば、健常者の視点では気づけなかった不便さを体感できます。

 

せっかく整備にコストをかけるなら、誰もが安心して使える形にしたいものです。

 

ぜひ、設計や整備の前に「当事者の体験」を取り入れてみてください。

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