お店を利用する際、車椅子利用者が段差・通路幅など安全かどうか?
Contents
車椅子ライフデザイナーのまおうです。店舗に行ったときによく感じるのが、「入口付近の構造」です。長年車椅子に乗っていると一番気をつけているのが「安全」になるので、ちょっとでも危険を察知すると入店するのをやめようと思ってしまうことが多いです。一体どういったものが入店を妨げてしまうのでしょうか?
入口に自動ドアがあっても気軽に入れない理由とは?
都内のコンビニなどでもよく見かけるのですが、入口が自動ドアになっているので人に優しい構造になっていると一見思いがちですが、段差解消プレートの先に自動ドアになっていることで、車椅子利用者が入店しにくい場合があります。もちろん介助者がいる場合は大丈夫だと思いますが、最近は車椅子利用者が1人で外出しているケースが多くなっております。
車椅子利用者は段差解消プレートがあっても角度がかなりあるために多少の助走が必要になります。そうなると助走のスタート場所にいる時点で自動ドアが反応しないため、漕ぎだしてプレートを上る瞬間あたりで自動ドアが反応するわけです。そうなると車椅子利用者は入店するときにはドアは開き切らない可能性があります。
また自動ドアといっても、「手を触れてください」となっている場合は余計に難しくなります。段差解消プレートを乗り切ったところに車椅子がとまれるスペースがあるならば対応可能ですが、そうでなければ手を触れる前にドアに激突するか、後退するかのどちらかです。危険を察知したならばわざわざ利用しないと思うでしょう。
車椅子で入店しても方向転換できないのはかなり厳しい
さらに気になるのは入ってすぐの場所が狭いことです。車椅子の幅は約60㎝ですので90㎝くらいは必要になりますが、すべて直進するだけならいいのですが、左折・右折などの方向回転する際には120㎝×120㎝くらいのスペースがなければなりません。
よくあるのが一番奥まで行ったものの方向転換することができなくて、後ろ向きで下がらざるを得ないことです。後ろ向きに下がる場合は何かの障害物に当たってバランスを崩すこともあります。そうなれば後頭部を激突することになってしまうこともあります。
私も以前、後向き倒れて、頸椎の上の部分にぶつかり救急車で病院へ運ばれたことがあります。幸いにも9針縫っただけで済みましたが、状況によっては大事故にもなるケースがあるでしょう。そのため車椅子の後ろ向き走行にならない環境づくりも必要です。
そのためにも店内には車椅子の方向転換ができるだけのスペースをいくつか設けておくことが必要です。特に入口部分だけは多少広く開けて頂けると助かります。混雑することもあるのが入口ですので、車椅子利用者が気軽に待つことのできるスペースを設けていただけるとありがたいです。
今後は超高齢化社会に伴い車椅子利用者が増えていく世の中です。2025年には団塊世代の男性は健康寿命を突破している時代になります。そうなることを想定して少しでも店舗を設計するときにはバリアフリー化に向けて取り組んでいただきたい内容です。
関連する投稿
- 車椅子利用者にとって跳ね上げ式の駐車場はバリアフリーではない
- 車椅子利用者だけでない多目的トイレ争奪戦とは
- 車椅子における段差のバリアは1段と2段では全く違うワケ
- 車椅子のバリアフリーには寸法が分かると事前に判断しやすい
- 多目的トイレが利用しにくくなる備品の位置とは?
現在の記事: お店を利用する際、車椅子利用者が段差・通路幅など安全かどうか?