「車椅子OKな会議室」は少ない?誰も気づいていないバリアフリーのビジネスチャンスとは
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
今回は、意外な場所で「バリアフリー」が活用できることに気づいたので、その視点をお伝えします。
多くの人が見落としている場所にこそ、ビジネスの新たな可能性が眠っていると感じています。
車椅子で入れる会議室やセミナーハウスは本当に少ない
以前、私は自主開催のセミナーを東京で開催していました。
自分のテーマである「バリアフリー×ビジネス」という考え方を、より多くの人に知ってもらうための活動です。
会場としてよく使っているのは、東池袋や神保町のバリアフリー対応の会議室です。
実は、こうした会場を探すのに毎回苦労していました。
なぜなら、世の中の多くの会議室やセミナーハウスは、まだまだバリアフリー対応が進んでいないからです。
高齢者が3500万人を超え、公共交通機関でも車椅子での移動が可能になっている時代です。
そう考えると、「何かを学びたい」と思う車椅子ユーザーがいても不思議ではありません。
それでも現状は、「通える場所がない」という理由で諦めざるを得ない方も少なくありません。
バリアフリー会場だからこそ来られた、という声
私のセミナーには、これまでに電動車椅子を利用されている参加者が2名いらっしゃいました。
そのお二人が共通して話されていたのが、次のような言葉です。
「参加できるセミナーを探しても、ほとんどがバリアフリーでないため断られてしまった。でもあなたのセミナーはバリアフリーの会場だったから参加できました」
また、ある方は手も不自由で、文字を書くことができない状況でした。
その方はこうもおっしゃっていました。
「録音してもいいですか?といろんなセミナーで尋ねたら、断られてしまいました。でもあなたのセミナーは許可してくれた。それが本当にうれしかった」
私のセミナーは基本的に録音を許可していませんが、その方の状況を踏まえて、柔軟に対応しました。
「選択肢」があるだけで、学びの扉は開く
車椅子を利用しているというだけで、学ぶ場所を選べない現実があります。
しかし、裏を返せば、学びたいというニーズは確実に存在するということでもあります。
もし物理的なバリア(会場の段差や狭さ)を解消することができれば、学びの選択肢は大きく広がります。
これは単にバリアを取り除くという話ではなく、ビジネスにとっても大きなプラスになります。
実際に、「車椅子でも安心して受講できる場所」として選ばれることで、差別化と集客力の強化が図れます。
こうしたニーズに、まだ多くの人が気づいていないのが現状です。
だからこそ、誰もが気軽に受講できるバリアフリー対応のセミナーや会議室をつくれば、先駆者になれる可能性があります。
HPや広告に「車椅子で受講可能」と記載するだけでも、大きなインパクトがあるはずです。
そしてこの視点は、セミナーや会議室に限らず、さまざまな業種に応用できるはずです。
今後は、バリアフリーを「社会貢献」ではなく、「新たな市場」として捉える時代になっていくのではないでしょうか。
ぜひ、この機会に一度ご検討ください。
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