飲食店において車椅子利用者が使いにくいとされるテーブル
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バリアフリースタイル代表の白倉です。飲食店におけるテーブルについて考えていきたいと思います。意外と車椅子利用者がスムーズに入れるようなものがないものです。そこで車椅子利用者が使いやすいテーブルを用意することでリラックスして食事をしたりすることができるものです。どういった状態を考えていく必要があるのでしょうか?
通常のテーブルにはバリアが生じてしまう
よく見かけるテーブルにおいては、いくつかの課題が生じています。例えばレストランのような飲食店においては、机の脚が車椅子の2本の前輪にあたるために、車椅子をテーブルの奥に入れることができないケースです。そのためテーブルからかなり手前の位置で食事をすることになるでしょう。車椅子利用者は身体が丸まった状態になっており、猫背のような姿になっているにちがいありません。
さらにテーブルが一般の健常者に合わせているために高さが低いことも考えられます。車椅子についてはプレートの上に足のプレートを置いているために5~10㎝程度高くなり、テーブルが低いと膝・太ももが当たってしまいがちです。そのため上記同様に手前の位置で食事をすることになります。
その他には飲食店における固定席です。車椅子利用者にとっては使いにくい典型的なテーブルです。このテーブルにおいては、椅子とテーブルの空間が狭いために、車椅子から椅子への乗り移りは難しいものです。そのためテーブルの入口に車椅子に乗ったまま利用しますが、通路を妨げる可能性があるとなかなか使いにくいものです。
それを防ぐためには、車椅子で利用しても車椅子の後ろの通路幅を大きく確保しておくことが必要になり、通路幅を確認できない場合は、お客さまや従業員が通路を通る際に影響が出てしまうでしょう。もしくは、固定席でも椅子の取り外しができるケースもあります。回転寿司のはま寿司や喫茶店のコメダ珈琲店においては固定席を外すことができるような工夫をされております。全席ではないにしろ、車椅子でも利用できることは嬉しいものです。
1ヶ所でも使いやすくなることで利用者の幅が広がる
大事なポイントは、今まではゼロだったものが1カ所でも利用しやすい環境になっていることによって、バリアフリーへの取り組みのスタートになり、利用されるお客さまにとっては、この店だから行ける・行きたいにつながることでしょう。
今後において新規で店舗などを造る場合には、上記のポイントをクリアしたものが望まれます。それはユニバーサルデザイン的な要素をもっているので一般の人にとっても車椅子利用者にとっても使えるものになるはずです。新規ではなく既存のテーブルを設置しているケースについては、新たにテーブルを取り替えるのは難しいと思いますが、全体の中の1カ所だけでも気軽に利用できるようなテーブルを用意するといいでしょう。
今後は超高齢化社会に伴い、車椅子利用者が増えることはまちがいありません。しかも車椅子利用者とともに友人・家族・同僚などが一緒に来店する時代になってきています。バリアフリー化された店舗が少ない中で、行くことができる店舗は大変貴重な存在です。それが店舗にとって大きな差別化につながり、車椅子利用者にとって喜ばれリピーター化される大きなポイントになるでしょう。
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