車椅子でも行けるバリアフリーへの一歩はわずかな工夫から始まる
Contents
あなたの会社の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
お店がバリアフリー化を避けている理由の1つは
「うちには障害者・車椅子利用者が来ないから」
もちろん階段しかないようなお店では難しいかもしれません。
しかもお店はオーナーから借りている場所であったら、何とかしたいと思っても余計に難しいでしょう。
でももし入口にたった1段の段差であったら、工夫をすることで大きく状況が変わります。
万全ではないにしろ、今まで該当のお客さま0名からの脱出が図れるようになるでしょう。
もしその工夫がお客さまに伝われば、料理のおいしいあなたのお店だからぜひ行ってみたいと思う人が増えるにちがいありません。
今まで行きたくても行けなかったと思っている人に、救いの手を出してあげることは、きっとやりがいにつながるのではないでしょうか。
20年前でもバリア解消を考えている名店があった
私がそう感じるのは、もう20年くらい前にさかのぼる出来事です。
友人が「たまにはおいしいうなぎを食べたいよね」と突然言ってきました。
うなぎだったら関東でも食べることができるのに…と思ったものの、「浜松のうなぎを食べたい」と言い出したんです。
確かに静岡県浜松市は、うなぎで有名な産地ですが、私の住んでいる茨城県からは約300キロ以上離れた場所なので、ものすごく遠いイメージがありました。
そして友人は、雑誌などで調べた結果、どうしても行きたいお店があり、浜松にある有名なうなぎの名店に向かいました。
そのお店には駐車場がなかったために、近くの商業施設にとめました。
そして向かったお店の入口には、1段の大きな石段がありました。
「多分これでは難しい…」と。
ところが、お店の女将さんが木製のスロープ(手づくり)を持ってきてくださり、簡単にお店に入ることができました。
名店だけあって、うなぎの味は関東に食べる以上に美味しかったことを覚えています。
でも私にとっては、うなぎを食べれたことよりも、木製のスロープをお店側が用意してくださっていたことがサプライズでした。
そのことが忘れられない思い出です。
ちょっとした工夫だけで喜ばれるのがバリアフリー
ここで考えてみていただきたいのですが、上記のエピソードは、あらかじめ車椅子利用のお客さまが来店されることが予測できていれば、用意ができるものであり、さほど難しいことではありません。
木製の手づくりのスロープなのでコスト的にもあまりかかっていないでしょうし、既存のスロープでも本格的なものでなければさほどかからないでしょう。
ただ20年くらい前にこのような対応ができたことはとにかく珍しいことでもある一方で、それから20年経過した現在においても、このような対応はどのお店も対応できていないのが実態です。
しかも20年くらい前は車椅子利用のお客さまが明らかに少なかった中で、行っていたことが素晴らしいことです。
もし住んでいる近くであれば、何度も通っていることでしょう。
つまりリピーターになってしまうくらい、車椅子を利用している私にとっては、衝撃的だと感じることでした。
多分、車椅子利用者なら同様だと思うでしょう。
木製スロープをわざわざ作らなくても、市販のスロープを用意するだけで、バリアが解消されてしまうわけです。
もちろん多目的トイレなどの課題は残っているものの、利用価値がゼロではなくなり、集客につながるのは大きいでしょう。
多くの人に知っていただくためにどうするかがカギ
スロープがあることをHPに掲載したり、飲食店検索サイトに画像を掲載したり、店頭に車椅子利用のお客さまへの告知をしたりすれば、バリアフリーのお店を探している車椅子利用者にアプローチできるはずです。
今回は1つの工夫ですが、いろいろな方法があるでしょう。
いかにお店がこころのバリアフリー対応のできるお店であることを、多くのお客さまに知っていただくことが評判のお店になるでしょう。
きっと優しいあなたのお店だから行きたくなるにちがいありません。
ぜひバリアフリーの専門家を交えて、検討してみてください。
笑顔を増やすことで、よりあなたの仕事のやりがいにもつながることでしょう。
関連する投稿
- 路面が大事?車椅子でも利用しやすい駐車スペースにする
- 車椅子利用者の目線なしにバリアフリーを設計するのはNG行為
- 身障者用駐車スペースがなくても心のバリアフリー対応ができること
- 駐車場の有無が車椅子でも利用できるか明暗の分かれる理由
- 車椅子で入れるテーブルの高さもバリアフリーのポイント
現在の記事: 車椅子でも行けるバリアフリーへの一歩はわずかな工夫から始まる