バリアフリー化への取り組みを「見える化」すること
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。ショッピングモールなどの商業施設においては、いろいろとバリアフリー化への取り組みがされております。しかしその取り組みが意外と利用する人に知られていないことがよくあります。せっかくコストをかけて造ったものにも関わらず、全く知られていないのでは、宝の持ち腐れになってしまうのではないでしょうか?
商品のセールス以外のチラシは企業の取り組みを伝えるいい機会
私は長年総合スーパーで勤務してきました。私が勤めていた店舗は、1996年10月にオープンした茨城県初のハートビル法店舗となっていました。ハートビル法は現在のバリアフリーにおける法律のきっかけになるものでした。それまではバリアフリーにおける法律基準がなく、多目的トイレ・身障者用駐車スペースの設置はほとんどなかった時代です。
そのため1996年以降に建てられた店舗は、バリアフリー化されていることが多いです。もちろん1996年オープンした当店は、ハートビル店舗だったのですが、特にバリアフリーのPRはしておりませんでした。ところが2代目の店長が就任した時に、年に1度だけの創業祭のチラシだけは、商品のセールス以外にもバリアフリーとして取り組んでいることやボランティア活動なども掲載することになりました。これは当時の店長の想いによって実現したものです。
一般的には「なんてチラシだ」と思われるかもしれませんが、実際にはお客さまからとても評判がよかったことを今でも覚えております。その真相は分かりませんが、従業員が思っている以上に、お客さまからするとお店の知らないことは、ものすごく多いということではないでしょうか?そこが大きなポイントです。
売り手側からは当たり前だと思っていてもお客さまは知らないことが多い
つまり売り手側にとっては当たり前に思っていることでも、買い手側からするとそうではないことがほとんどです。だからこそ普段利用されているお客さまであっても、意外と知られていないことが多いものです。しかもまったく店内の掲示などをしていないものは、誰の目にも止まっていないこともよくあることです。
例えば、多目的試着室というものをご存知でしょうか?最近では、車椅子利用者であっても衣料品の試着をしたいという要望が多く、一般の試着室の周辺に多目的試着室を設置しております。でもこの多目的試着室はあまり使われることが少ないのが実態です。
他社の多目的試着室が雑誌に取り上げられていたので一度見てみたいと思い、東京の有名百貨店へ訪れたことがあります。私が「多目的試着室を見たいのですが?」と申し出たところ、「少々お待ちください」とのことで、多目的試着室の整理整頓をされていました。担当者は「誰も使わないので、物置場になっているので申し訳ございません」とおっしゃっていました。
大事なことは「見える化」にすること
せっかく雑誌にも取り上げられていたのに、店内のどこにも多目的試着室があることをPRされていませんでした。だからこそ誰も知らないものとなってしまうのかもしれません。こういったことはよくある話です。でもとても残念な思いを感じたことを覚えています。
大事なことは、利用したいという要望があって設置したものについては、きちんと「見える化」をすることです。そこから売り手側と買い手側のコミュニケーションができて、お客さまに信頼していただける店舗につながるにちがいありません。
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