バリアフリー化を訴求することが社会貢献につながる理由

2020.02.01 (土)

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バリア解消請負人の白倉栄一です。今回お伝えするのは、「バリアフリーは知ってもらってナンボの世界」というテーマです。

 

超高齢化社会において、車椅子人口が増加傾向にあるのは、ほとんどの人がご存知のことでしょう。私は車椅子生活になってから23年間が経ちましたが、街中で見かける車椅子利用者の数は、明らかに年々増えているように感じています。しかもこの5年くらいはものすごく増加しています。

 

そういった状況であれば、当然行ける場所が増えていると思われるかもしれませんが、実はそうではありません。意外とバリアフリーの設備が整ったところは、残念ながら探してもほとんど見つからないのが現状です。

 

実際にバリアフリーの設備がないのが大半ではあるものの、バリアフリーの設備があるのにも関わらず、あえてそれを公開していないケースがあるのをご存知ですか。それはなぜなのかというポイントと、今後バリアフリー化を考えている方にどうしたら車椅子利用者に喜んでいただけるのかをお伝えします。

 

伝えないことは誰の役にも立っていない

誰かに何かを伝えたいと思ったら、きちんと言葉で伝えることで相手に分かってもらえるでしょう。それはバリアフリー においても同じです。ところがあえてバリアフリーの設備を利用者に伝えないケースがあります。

 

それは「バリアフリーだから当店にお越しください」という表現は、集客的な要素を感じさせるために、社会的な印象から相応しくないと捉えているケースがあるからです。もちろん問い合わせでは答えるものの、ホームページなどにはあえてバリアフリーの情報を載せることをしない状況です。

 

ここでお伝えしたいことは、人によって捉え方の違いはあるものの、車椅子利用者にとって、バリアフリーの設備のあるスポットを探しているので公開した方が明らかにいいことは確かです。

 

そう考えるならば、あえて伝えないようにしていることは一体誰のためにもなっているのかという疑問が残ります。むしろバリアフリーであることをきちんと伝えることで、常に探している利用者のためになると考えた方がいいでしょう。

 

現状では、バリアフリー設備の整った場所は、公共交通機関・公共施設・大型ショッピングモール・スーパーマーケットなどの商業施設であり、それ以外のお店などではあまり見かけることがありません。

 

そういった状況のために、利用者目線で言えば、バリアフリー設備がもしあったとしても伝えていないものは、「ない」と判断しがちです。この世の中にはお店の数は無数にあるのに、50〜100軒探しても見つからない状況では、誰もが十中八九ないだろうと思うのは当たり前です。

 

どうやってバリアフリーを伝えるかがポイント

ではどうやって伝える必要があるかです。「ない」と思われているので、目につくような訴求方法が必要になります。それは、車で運転していたら、パッと目につくようなピクトグラムがあるといいでしょう。

 

一例を申し上げますと、埼玉県を中心に出店している「和食レストランとんでん」というファミリーレストランがあります。このお店は私自身がよく行くのですが、かなり昔からファミリーレストランでバリアフリー設備が充実しています。

 

和食レストランとんでんは、ロードサイドに国際シンボルマークの車椅子のマークがついた看板を掲げている点がポイントです。そのために私がお店に行くと必ず車椅子利用者のお客さまが来店しておりますし、それ以外にも多くのご年配の皆さまも見かけます。

 

料理が美味しいことでも有名ですが、「車椅子利用者でも大丈夫です」という気持ちが国際シンボルマークだけでとても伝わります。行けるところが少ない車椅子利用者からすれば、「ここなら大丈夫」という気持ちにもなります。

 

さらに路上を歩いている人に訴求するのであれば、店頭に心のバリアフリーを伝えるステッカーなど(「バリアフリー てけてけ隊ステッカー」など)が貼ってあると、車椅子利用者が利用しやすいお店だと思われるでしょう。

 

ほとんどの利用者は、「この店に入ったら、もしかしたら断れるのでは・・・」という不安があるので、ステッカーが貼ってあるだけで「お願いしても大丈夫だろう」と思われるにちがいありません。

 

あとはバリアフリーのスポットを探している車椅子利用者のために、ホームページなどの媒体にもバリアフリーであることを明記するとより訴求できます。トップページのバナーにバリアフリーについての記載があるだけで、利用者に安心感を与えるでしょう。

 

そしてできれば画像や寸法などを明記したトイレなどを掲載しておけば、「自分なら使える」とイメージしてもらえるでしょう。

 

もし店舗がバリアフリーでない場合はどうするかですが、その場合でも近隣に多目的トイレや障害者用駐車スペースなどがあれば、その情報をきちんと掲載することで、利用できるかもしれないと思われるでしょう。今までバリアとなっていたお店でも、集客のチャンスが生まれることにつながるかもしれません。

 

情報の見える化こそがバリアフリー化を広める

大事なことは「情報の見える化」です。とにかく行けるところを探している利用者のために、どれだけ情報を発信できるかが決め手となります。

 

もし公開をためらっているのでしたら、この機会に考え方を変えてみてはいかがでしょうか。誰もあまり手掛けていないバリアフリーだからこそ、情報を訴求することに価値が高まります。

 

時代に合わせて、お店の在り方が問われる時代です。ダメだから簡単にお断りしていては、増えつつける車椅子人口にあわることができないお店になってしまいます。

 

需要が高まるのに、供給先がない中で、供給先を作って行くことで、集客にもつながり、社会貢献にもつながります。2020年は東京オリンピック・パラリンピックの年です。何か始めるにはきっかけとしてはとてもいいのではないでしょうか。

 

きっと多くの方々があなたのお店のバリアフリー化を待ち望んでいます。それに応えてみませんか。

 

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