「えっ、ここがバリアフリーに?驚きが口コミを生む時代」
「接客って、ちょっとしたことで“好き”にも“残念”にも変わってしまう」
このシリーズでは、バリアフリーな接客を実現するためのヒントを、現場での具体例とともにお伝えしています。
「ここはバリアフリーではないだろうな…」
そんなふうに思っていた場所が、ある日突然バリアフリーになっていたら…?
そのサプライズは、人の心を動かします。
そしてSNSや口コミで広まり、車椅子利用者が自然と集まるスポットに変わっていきます。
それが店舗や商業施設であれば、
当然、売上にも直結します。
そして、人にやさしい社会貢献にもつながるのです。
バリアフリー化は喜ばれるだけでなく、ビジネスにも好影響をもたらします。
今後は“サプライズ”が成功の鍵に
20年以上車椅子で生活してきた私は、
「ここは多分無理だろうな…」と先に想像してしまうクセがついています。
とくに歴史ある建物や寺社仏閣は、構造上の制限があるため難しいと思っていました。
しかし、東京・浅草にある浅草寺の本堂がバリアフリー対応になったときは、本当に驚きました。
それは私にとって、まさに“サプライズ”でした。
きっと知恵と工夫を凝らして
実現されたことだと思います。
例えば、スロープがあえて固定されていない設計になっている点も印象的でした。
おそらく、歴史的建造物に傷をつけないよう、釘を使わずに設置する工夫があったのだと思います。
もちろん、コストや専門知識も必要だったはずですが、
だからこそ、私たち利用者は「ここがバリアフリーになったの!?」と感動し、「行ってみたい!」という気持ちが生まれるのです。
参拝者が増えれば、その周辺の仲見世通りなども賑わい、経済的な波及効果も生まれます。
“見せかけ”のバリアフリーでは意味がない
ただ、逆に残念なケースもあります。
例えば本堂がバリアフリーになっていても、そこまでの道が砂利道であれば、車椅子では進めません。
結果的に「せっかく整備したのに、使えない」状態になってしまいます。
車椅子は前輪が小さいため、砂利や土の道では埋もれてしまい、ほとんど進めないのです。
段差をなくせばバリアフリーと考える人も多いのですが、
実際にはそれだけでは不十分です。
本当に使えるバリアフリーにするには、車椅子ユーザーの声や目線を取り入れることが大切です。
利用者の本音が、未来のヒントになる
車椅子利用者がなぜショッピングモールで食事するのか。
答えは単純です。「バリアフリーだから」。
でも、もしバリアフリーの個人レストランが増えたらどうなるでしょう?
多くの人は「そっちの料理が食べたい」と思うはずです。
つまり今は“バリアフリー”という条件が優先されているだけで、
本当は“食べたいもの”があるということです。
バリアフリー化によって選択肢が増えれば、
それは利用者の自由と楽しさを広げることになります。
そして結果的に、選ばれるお店になるのです。
今こそ、気づいたお店が一歩先へ。
▼シリーズ共通の締めのひと言
「気づき」は、誰かの安心につながる。
今日も一歩、やさしい接客を。
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