「バリアフリールーム」の落とし穴?安心を生む“情報の見える化”とは
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
私は車椅子生活になって27年になりますが、旅行先での「宿泊」は今でも不安を感じる場面が多くあります。
その大きな理由は、宿泊する部屋の情報が事前に十分に分からないからです。
「バリアフリールーム」と言われても、実際にはどんな部屋なのか分からず、現地で困る。
そんな経験をしてきたからこそ、「見える化」が必要不可欠だと感じています。
本当に使える?広いだけのバリアフリールーム
実際に私が体験したのは、大手ホテルチェーンの「バリアフリールーム」に宿泊した時のこと。
広さは十分でしたが、風呂とトイレに段差があり、まったく使うことができませんでした。
フロントにその旨を伝えると、「我慢してください」と言われた苦い経験もあります。
こうした「使えないバリアフリー」では、逆にお客さまの信頼を失ってしまうでしょう。
また、障害の状況は人それぞれ違うため、広さや手すりがあるだけでは「使えるかどうか」は判断できません。
だからこそ、事前に正しい情報を公開し、利用者自身が判断できる環境をつくることが、
クレーム防止や安心につながるのです。
不安を解消する「情報公開」のすすめ
バリアフリー対応を公表することで「クレームが怖い」と感じる宿泊施設も少なくありません。
しかし逆に、「ここまでオープンにしているんだ!」と好印象を持ってもらえる宿になれば、
安心感・集客・社会貢献のすべてを実現できるチャンスになります。
具体的には、次のような情報公開をおすすめします。
- 360度カメラによる室内の全貌公開
- 風呂・トイレ・ベッドなどのサイズや高さを具体的に明記
- 車椅子からベッドやトイレへの乗り移り方法を動画で紹介
- 実際のスタッフの対応を動画で紹介
ここまでやる宿泊施設は、まだほとんどありません。
たとえ「うちの設備はまだ不十分」と感じていても、現状を正直に公開し、使い方を伝えることが、
「親切で信頼できる宿」として選ばれる第一歩になるのです。
「全ての人にフィットしない」からこそ、情報公開が価値になる
もちろん、どんなに設備が整っていても、すべての人に100%フィットするわけではありません。
それでも、事前に情報が見えることで、「自分には使える」「今回は難しそうだから他を探そう」と利用者自身が納得して判断できます。
これがクレームを防ぎ、安心して選ばれる宿づくりにつながるのです。
「バリアフリールーム」を名乗るなら、今こそ「情報の見える化」に取り組んでみませんか?
その一歩が、他にはない強みとなり、新たなお客さまとの出会いを生み出します。
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