「バリアフリー情報の落とし穴|利用者に選ばれるためのホームページの書き方」
車椅子生活が25年以上経過した私ですが、ここ10年ほどでバリアフリー対応の情報が増えてきたのを感じています。
多くの施設がホームページなどで「車椅子利用可」「バリアフリー」などと記載するようになりました。
しかし、掲載情報が曖昧で判断しにくいケースが依然として多く、利用者にとっては悩ましい現状です。
今回は、実際に判断を迷いやすいポイントをお伝えします。
バリアフリーかどうか、なぜ判断しにくいのか?
「バリアフリーではない」とはっきり明記するのは、印象面や障害者差別解消法の観点から難しい場合があります。
そのために、曖昧で回りくどい表現になり、結果的に分かりづらくなってしまうのです。
例として、「構造上、介助者の同行をお願いしています。従業員が対応できない場合もございます」といった記述があります。
これでは実質的にバリアがあることを伝えているにもかかわらず、判断材料としては不十分です。
それならば、「入口に階段10段あり、エレベーターはありません」など具体的な状況を画像付きで示した方が親切です。
そして「申し訳ありませんが」などの丁寧な表現を添えることで、利用者の心象もやわらぎます。
また、「車椅子で利用できますか?」という質問に対して「車椅子の貸出はしていません」と返答しているケースもあります。
このように質問と答えがすれ違っていると、肝心のバリアフリーかどうかは結局分からないままです。
「分かりにくさ」はクレームの火種になる
曖昧な情報は、クレームや問い合わせの原因になります。
「行ってみたら使えなかった」というトラブルは、利用者にとっても企業にとっても大きなストレスです。
私自身、総合スーパーでクレーム対応の責任者をしていた経験があるので、その大変さはよく理解しています。
バリアフリー対応の施設であっても、「多目的トイレ有」「バリアフリー可」など、抽象的な表現のみでは伝わらないことが多くあります。
なぜならば、障害の状況は人によって大きく異なるからです。
Aさんにとっては問題ない施設でも、Bさんには難しいこともあるのです。
さらに、せっかくバリアフリー化を進めたにもかかわらず、それをうまく伝えられていない施設も少なくありません。
それでは集客にはつながらず、バリアフリー対応の意義が半減してしまいます。
バリアフリーは「具体的に見える化」することが大前提
おすすめは、画像と具体的な文章の両方で掲載することです。
車椅子利用者がどうやって施設に入るか、その流れを明確にイメージできるかどうかがカギです。
また、机上論ではなく、実際に車椅子利用者の声や視点を取り入れることが重要です。
できればバリアフリーのコンサルティングを受け、改善点や表現の工夫をしていくことが理想的です。
それこそが、「伝わるバリアフリー」への第一歩だと私は考えています。
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