伝えてこそ”のバリアフリー 〜設備を活かす情報発信のすすめ〜
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バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
今回のテーマは、「バリアフリーは知ってもらってナンボの世界」です。
超高齢化社会の中、車椅子利用者の人口が増加していることは、皆さんも実感されているのではないでしょうか。
私自身、車椅子生活を始めてから23年が経ちますが、特にここ5年ほどは街中で車椅子利用者を見かける機会が格段に増えています。
では、行ける場所も増えているのかと言えば…実はそうではありません。
バリアフリー設備が整っている場所は、依然として限られています。
それだけでなく、「バリアフリー設備があるにも関わらず、情報として公開していない」ケースも多く存在します。
伝えないことは、誰の役にも立っていない
バリアフリー設備があるにも関わらず、店舗側がその情報を積極的に発信しない理由の一つに、「集客目的だと思われたくない」という遠慮があります。
ですが、車椅子利用者にとっては「設備があるかどうか」が、行動の可否を決める非常に重要な判断材料です。
結果として、情報がなければ「そのお店には行けない」と判断されてしまうのです。
「伝えない優しさ」は、かえってバリアになってしまうこともあるのです。
どうやってバリアフリーを伝えるかがポイント
では、どう伝えれば良いのでしょうか。
例えば、埼玉県を中心に展開する「和食レストランとんでん」では、店舗前に車椅子マークの大きな看板(国際シンボルマーク)を掲げています。
これだけで「ここは安心して入れる」と、車椅子利用者に伝わります。
実際に、私が訪れるたびに車椅子のお客さまや高齢の方々を見かけます。
料理の美味しさももちろんですが、「歓迎されている」という安心感が、多くの方に支持されている理由でしょう。
さらに、「バリアフリーてけてけ隊ステッカー」などの店頭表示も効果的です。
目に見える工夫は、利用者の不安を大きく和らげてくれます。
また、ホームページでの発信も重要です。
- トップページにバリアフリー設備の有無を明記する
- トイレの広さや設備を写真付きで紹介する
- 近隣の多目的トイレ・障害者用駐車場の情報も掲載する
「ここなら行けそうだ」と思ってもらえる情報発信こそが、最大の“おもてなし”です。
情報の見える化こそがバリアフリー化を広める
これからの時代、バリアフリー化の取り組みは「設置すること」以上に、「情報として発信すること」が求められています。
もし、設備があるのに発信していないのであれば、今こそ考え方を変えるチャンスかもしれません。
特に今後、車椅子利用者や高齢者のニーズはますます高まります。
その需要に応える情報発信は、集客にも社会貢献にもつながるのです。
あなたのお店の“伝える力”が、多くの人の安心と行動のきっかけになります。
ぜひこの機会に、バリアフリー情報の見える化に取り組んでみませんか。
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