自分の持っている能力を最大限に活かしていくことが強みになる

2019.06.17 (月)

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あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。

 

障害者になった時に感じたこと、それは「できない」と思うことが増えたこと。健常者の時は何気なくできることが、障害者になったことで諦めることが多々あります。

 

その1つがボウリングでした。

 

ボウリングができなくなることなど大したことはないと思うかもしれません。

 

でも私にとっては、ボウリングができなくなることが自分の中では悲劇でした。

 

突然の病気・ケガによって障害者となったとしても、生きていく上で大事なことは、「できない」ことをいかに乗り越えていくかです。

 

いつまでもネガティブのままで生きていても、残念ながら誰も助けてくれないでしょうし、明るい未来は待っていません。

 

それは、たとえ辛くても、自分自身が乗り越えなければならない壁でもあります。

 

そして生きていれば必ず転機がやってくるものだと、この障害者になってからの22年間過ごしてきました。

 

私と同じように、何かができなくなった、うまくいかないと悩んでいる人に対して、何かの参考になればと思っています。

今までできたことに対して後悔してしまいがち

私は障害者になる前、自分で言うのもおかしいかもしれませんが、ボウリングが得意でした。

 

1人でボウリングに行ったこともあるくらいです。

 

マイボール・マイシューズはもっていませんでしたが、近いうちに購入しようと思っていました。

 

最高スコアは251で、7フレームまですべてストライク。

 

残り3フレームもストライクとスペアーでノーミスでフィニッシュしたことがあります。

 

平均スコアでも180ラインは出していました。

 

別にプロになるつもりはありませんでしたが、自分にとって生涯楽しめるスポーツだと思っていました。

 

でも脊髄損傷になり二度と歩くことができないと医師から宣告を受けたときは、真っ先に「もうボウリングができない」と思ったんです。

 

野球少年が「病気のためにもう野球はできません」と宣告を受けるような気持ちをイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

もちろん車椅子でもボウリングができないわけではありません。

 

ガーターをなくすボウリングが車椅子でも遊べることは知っていました。

 

ただ私にはそれが今までやってきたボウリングとは違うものと捉えていましたので、全く興味を示しませんでした。

 

真剣勝負でスコアの闘いをすることが、私にとってのボウリングの醍醐味だったのです。

 

だからボウリングができなくなったことが、とても悔やみました。

 

人は今までできたことができなくなったことで、「なぜできなくなったのか」「どうしてできないのか」と悩むことがあるでしょう。

 

できることに注力することでストレスから解放しやすくなる

ここで大事なことは、「できない」ことに目をむけるのではなく、「できる」もしくは「できるようになる」と思えるものにチャレンジすることだと思うんです。

 

「諦めて別のことに気持ちを切り替える」

 

そして「できることに思いっきり注力する」ことです。

 

私は交通事故によって、胸から下の機能が麻痺しているために、歩くことができません。立つこともできません。

 

もちろんいつか再生医療が進歩して、手術ができる日が来るかもしれないと待ち望んでいますが、すぐにそうなるかと言えば、いつになるか分からないでしょう。

 

そうであれば歩くことを目標にするよりも、自分が現在使える機能、つまり残存機能をフルに活かして、胸から上の機能で頑張ればいいと思うようになりました。

 

私の場合はまだ手の機能は万全です。であるならば、パソコン入力のスピードを極限まで高めてみようと思うことになりました。

 

もともとパソコンに触ったことはあるものの、せいぜいブラインドタッチで入力するのがやっとなレベルでした。

 

当時は今のように気軽に購入できるような状況ではなかったのですが、たまたま入院先のリハビリ病院のOT室(作業療法室)に誰も使っていないワープロ機(東芝ルポ)がありました。

 

ただ私は手の機能は動くので、OTのリハビリは対象外でした。

 

でも会社に復帰したときに、パソコン入力のスキルだけはものすごく上げたかったと同時に、車椅子生活になっても自分の武器となるようなものを見つけたかった思いが強かったのです。

 

はじめはあなたは作業療法の対象ではないからワープロ入力しては困ると断れました。

 

ただ誰も使っていないワープロ機なので、作業療法の先生たちにご迷惑をおかけしないので、自分が勝手にワープロ機を入力して、時間が経ったら勝手に帰るのであればどうかと交渉しました。

 

そうしたら作業療法士の先生は認めてくれました。

 

ただスポーツトレーニングの先生の許可も必要となりました。

 

朝の1時間においてワープロ入力をするから、スポーツの開始時間を1時間遅らせてほしいとお願いしましたが、さすがに怒られました。

 

「あなたは何のためにこのリハビリセンターに来たのか?日常生活でも困らない身体を作るためではないのか?」と言われました。

 

確かにその通りでしたが、会社に復帰が決まっている中で、武器をつけることも私にとっては重要なスキルでした。

 

必死に交渉した結果、スポーツトレーニングの時間を減らさずに、ワープロ入力をする午前中の1時間だけを認めてくれました。

 

そのおかげで約3ヶ月くらい、毎日ワープロ入力の練習をひたすらすることによって、10分300字くらいしか入力できなかったものが10分900字近くまで、入力スピードを上げることができました。

 

しかも会社に復帰してからも、キーボードの入力やテンキーの入力で人よりもスピードを上げるために、仕事から帰ってきても毎日練習し続けました。

 

おかげさまで10分1300字くらい入力するスキルを身に着けることができました。

残存機能をフルに活かすことで「人一倍できる」に変えられる

今までできないと思っていたことに目を向けるのではなく、できることに最大限の力を発揮することが自分のようにハンディキャップのあっても、頑張れることではないかと思ったのです。

 

できるだろうと思えることに目を向けることによって、考え方が大きく変わりました。

 

その1つがパソコンのキーボード入力のスピードを上げることだったのです。

 

おかげさまで社内での仕事は思った以上にはかどることができました。

 

もちろんキーボードの入力だけが速くても、すべての仕事ができるようになるわけではありませんが、1つ1つクリアしていくことで、自分にとって大きな自信につながりました。

 

そして今まで「できない」と思っていたことでも、チャレンジしてみようという気持ちにもなりました。

 

どうしても人は「できない」ことが増えていくと、モチベーションが下がっていきます。

 

しかも病気やケガによって、諦めることが多くなると、気持ち的にふさぎ込んでいきます。

 

それが社会へのバリアになって、外出することも、仕事に行くことも怖くなるに違いありません。

 

でも完璧を求める必要はありません。

 

自分ができる範囲で、残された機能をフルに活かしていくことで自分だからできることを作っていくと、自信が大きくつくでしょう。

 

そして人から喜ばれれば、自分の存在が認めてもらえたことで、もっとやりがいが起きるに違いありません。

 

日本理化学工業の大山会長が生前おっしゃっていた言葉に「人には究極の幸せが4つある」

 

人は愛されること、褒められること、必要とされること、役に立つこと

 

これを感じることで、知的障害者でもうちの会社に働きに来てくれるとおっしゃっていました。

 

知的障害者だけでなく、誰もがこの4つを求めていると思っています。

 

そしてこの4つを感受したときに、人はものすごいパワーを発揮するように感じています。

 

それが自分の「できる」ことで人の役に立てば、たとえハンディキャップがあっても、人は頑張れるでしょう。

 

私は、このパソコンのキーボード入力がきっかけになって、その後22年間企業の中で、いろいろなことに挑戦することができました。

 

そして一般の健常者に混ざって、人事総務課長として仕事をすることもできました。

 

振り返れば、障害者になった私が、課長として仕事をすることなんか不可能だと思っていましたが、自分自身がハンディキャップがある中で、自分でも「できる」ことに最大限注力してきたからではないかと思っています。

 

日本で障害者スポーツを初めて導入し、日本初のパラリンピック開催に尽力された中村裕先生が、おっしゃっていた言葉に次のようなことがあります。

 

「残存機能を活かす」

 

どうしても病気やけがによって障害者となったら、昔の日本では保護しなければならないような考えがありました。

 

障害者がスポーツをしたり、仕事をしたりするのはもってのほかという風潮すらありました。

 

でも中村先生がイギリスに視察に行き、保護するのではなく、残存機能を活かすことによって、生活の質(QOL)を上げていくことを知りました。

 

そして障害者がスポーツをしたり、仕事をすることで、一般の人と同じように稼いだお金によって税金を払うことが、障害者の生きがいにつながると考えました。

 

私はあとになってこの話を知りましたが、私も障害者になったときに同じことを考えていました。

 

だから「できることに最大限頑張ろう!」と思いました。

 

ハンティキャップを負ったりすることで、どうしても自分自身を悔やんでしまったり、先行きが見えなくなり不安になることは誰でもあることだと思います。

 

でも自分にとって何か1つにでも打ち込めるものを考えてみることからはじめてみると、物事は変わっていくでしょう。

 

そしてそれが今まで以上に上達したときに、何かの変化に気づいて、自分の自信につながっていくでしょう。

 

残存機能をフルに活かすことで、自分の強みになり、きっと明るい将来が見えていくはずです。

 

私も会社を辞めて、起業したばかりの立場です。

 

まだまだ安定していませんが、お互いに未来に向かって頑張っていきましょう。

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