その接客、上から目線になっていませんか? 車椅子ユーザーとの“目線のバリア”をなくす第一歩

2025.05.29 (木)

バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。

 

超高齢化社会の進行とともに、車椅子を利用するお客さまがますます増えていくことが予想されます。

 

そんな時代において、接客の質を左右する重要なポイントがあります。

それが「目線の高さ」です。

 

この目線の差に気づかずに対応してしまうと、知らず知らずのうちに“上から目線”になってしまい、お客さまに「威圧的だ」「無視された気がする」という印象を与えてしまうこともあります。

 

車椅子利用者の目線は「100〜120cm」

 

一般的な車椅子利用者の線の高さは約100〜120cm

 

これは立っている人の肩から胸あたりの高さにあたります。

 

そのため、至近距離で立ったまま接客すると、自然と「見下ろす形」になってしまいます。

 

この“目線のギャップ”が心理的な壁=「目線のバリア」につながってしまうのです。

 

たとえばファミレスやカフェなどで注文を取る場面。

立ったままメニューを確認するのではなく、少し膝をついてしゃがんで対応するだけで、ぐっと親しみやすさが増します

 

昔、ある居酒屋チェーンが全員ひざをついて接客していたことで、とても好印象だったことを思い出します。

 

大切なのは、「高さを意識させない」接客を心がけることです。

 

気づかないのは「目に入っていない」から

 

よくあるのが、車椅子ユーザーがすぐ近くにいても、存在に気づかないというケース。

 

立っている人の目線が150〜170cmであるのに対し、車椅子ユーザーの目線は30cm以上低いため、視界に入りづらいのです。

 

ティッシュ配りや呼びかけをするときに無意識に見落としてしまうのも、こうした目線の違いが影響しています。

 

これは差別ではなく、“無意識のスルー”=意識の低さから起きてしまうのです。

 

「同行者だけに話しかける」はNG!

 

車椅子利用者の方が最も残念に思うのが、お客さまだと思われていない」と感じる瞬間です。

 

たとえば同行者がいると、その人にだけ話しかけ、本人には挨拶も言葉もない――そんな経験をしたという声も少なくありません。

 

これでは「自分は無視された」と感じてしまうのも当然です。

 

どんなお客さまであっても、まず1人のお客さまとして敬意を持って接すること。

 

スタッフの皆さんが慣れていない場合は、実際に車椅子利用者を招いて練習することもおすすめです。

 

目線を合わせることが“心を合わせる”ことにつながる

ほんの少し目線を合わせるだけで、お客さまの気持ちは大きく変わります

 

「このお店はちゃんと自分を見てくれている」

 

そんな安心感こそがリピーターにつながる最初の一歩です。

 

もし「自店でも実践してみたいけれど不安がある」という方がいれば、いつでもご相談ください。

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