「車椅子利用者への接客で差がつく!“目線”と“声かけ”の2つの気づきが大切」
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
小売店・飲食店などの商業施設で働いていて、車椅子利用者のお客さまが来店されたとき、きちんと目を合わせて接客できますか?
今後さらに増えていく車椅子利用者への対応は、接客現場における大きなテーマになります。
一見簡単そうに思えるこの対応ですが、実は意識しなければできないケースが多いのです。
なぜ対応できないのか。その理由は大きく2つあります。
この2つのポイントを意識することで、車椅子利用者への接客は大きく変わります。
克服すべき2つのポイントとは
まず1つ目は、車椅子利用者と立っている人との目線の高さの違いです。
車椅子利用者の目線は100〜120cm前後、立っている人の目線は150cm以上です。
30cm以上の差は思っている以上に大きく、自然と“見下ろされている感覚”を生みます。
そのため、できるだけ目線を合わせる姿勢を取ることが大切です。
体を少しかがめたり、しゃがんだりして対応するだけでも、印象は大きく変わります。
そして2つ目、こちらのほうが見落とされがちな重要な課題です。
車椅子利用者の多くは、誰かと一緒に来店されることが多いですが、その際、つい同行者のみに話しかけてしまうケースが多く見られます。
もっとも避けたいのは、車椅子のお客さま本人が話そうとしているのに、それを無視してしまうような態度です。
本人は「自分はお客として見られていない」と感じ、大きな不信感を抱きます。
これは、車椅子利用者との接点がない人が無意識のうちにしてしまいがちな応対です。
もし家族や友人に車椅子利用者がいれば、そのような接客はまずしないでしょう。
ですが、経験がない人にとっては、どう接すればいいか分からず、距離を取ってしまうのです。
立場を体験すれば、自然と見えてくることがある
この2つの課題を克服するには、まず実践的な接客トレーニングが必要です。
超高齢化社会の日本では、車椅子ユーザーがこれからますます増えていきます。
そのためにも、誰にでも自然に対応できる接客スキルが求められる時代になっています。
私自身、前職で総合スーパーの従業員教育に携わってきた中で、強く実感したことがあります。
それは、「相手の立場に立って考える」ことの重要性です。
もし自分が車椅子利用者だったら、どんな応対をしてもらえたらうれしいか、嫌な気持ちになるか、ぜひ想像してみてください。
イメージが湧きにくい方は、ぜひ一度、店内の貸出用車椅子に座ってみることをおすすめします。
視点が低くなることで、“見下ろされている感覚”をリアルに体感できます。
その時、自分ならどんな対応をしてほしいか、自然と見えてくるはずです。
こうした体験を通じて気づいたことを実践すれば、自然と“評判のいい接客”ができるようになります。
結果として、お客さまの笑顔や感謝の言葉が、従業員のやりがいにもつながります。
さらに言えば、車椅子に詳しい専門家による研修を受けることもおすすめです。
リアルな当事者の声を聞くことができるため、現場で活かせる気づきがたくさん得られるからです。
今後の店舗運営において、こうしたスキルは欠かせないものになっていくでしょう。
ぜひ一度、現場での実践と体験を通じて学んでみてください。
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