【駐車場バリアフリー対応の課題と改善策】接客・運営を見直し、顧客満足と集客力を高める方法
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
商業施設を運営している場合、駐車場や出入口での接客応対はバリアフリーの重要な一部です。
しかし、現場での対応が未熟で、せっかく整備された設備が逆にマイナス評価につながってしまうケースを多く見かけます。
今回は、駐車場バリアフリー対応に潜む課題と改善策を、実体験をもとにご紹介します。
【問題提起】駐車場係員の対応がバリアフリーを台無しにする
先日、私は都内のある駐車場でこんな体験をしました。
出口ゲートに「身体障害者手帳をお持ちの方は、サービス券を差し上げますのでご連絡ください」と掲示がありました。
案内に従って呼出ボタンを押し、手帳を持っている旨を伝えると、「この出口では対応できないので、対角線上の別の出口に行ってください」との返答。
後続車がいる状況でバックするか尋ねると、男性係員からはなかなか返答がなく、最終的にはキレ気味に「バックしてください」と言われました。
別の出口で再度呼出ボタンを押すと、防災センターの女性係員が窓越しに話しかけてきましたが、屋内のため声が聞こえず、最終的に「防災センターに来てもらわないと困る」と怒鳴られる結果に。
せっかく障害者サービスが用意されていても、現場対応が未熟だと、逆に「もう利用したくない」という感情を生んでしまいます。
【分析】独自ルールの押し付けはトラブルを招く
今回のようなトラブルの背景には、内部ルールと顧客認識のズレがあります。
建物オーナーや管理会社が決めたルールが、現場スタッフにだけ伝わり、顧客には全く周知されていないケースは少なくありません。
お客さまにとって「知らされていないルール」は単なる押し付けです。
それが結果的にトラブルやクレームの火種となり、店舗・施設のイメージダウンにつながるのです。
【提案】顧客目線で駐車場運営を見直そう
では、どのように改善すべきでしょうか?
- 駐車場内・支払機周辺に大きく分かりやすい掲示をする
- 防災センターではなく、店内カウンターなどお客さまが立ち寄りやすい場所で対応する
- 遠隔呼出に対応できるよう、自転車や移動用ツールを準備する
- スタッフが対応しきれない場合は、割引制度そのものを見直す
最も重要なのは、「お客さまがどう感じるか」という視点を運営側が持つことです。
制度があっても現場が回らないなら、それは制度として未完成です。
施設全体が一丸となり、ベクトルを利用者に向けることで、こころのバリアフリーが実現できます。
【まとめ】
- 駐車場係員の対応は施設全体のバリアフリー評価に直結する
- 内部ルールはお客さまに周知しなければ意味がない
- 顧客目線で運営を見直すことが、満足度とリピーター増加につながる
- 現場対応が難しければ、制度そのものを精査・改善する必要がある
【メッセージ】
せっかく整備したバリアフリー環境を、現場の運営が台無しにしていませんか?
顧客満足は、制度や設備だけではなく「現場のこころ」で決まります。
ぜひ一度、あなたの施設を利用者目線で見直してみてください。
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