車椅子のバリアフリー化に設置するスロープは角度が大事
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車椅子ライフデザイナーのまおうです。車椅子走行における最大のバリアは「段差」です。段差がなければ行けるところが増えていきます。しかし段差をなくしてスロープにすれば大丈夫!という発想だけではバリアが解消できません。なぜなんでしょうか?
バリアフリー法における勾配は1あがるのに12の距離をとる
スロープといっても角度が必要です。バリアフリー法における基準は1あがるのに12の距離を必要とする点です。そのため急な勾配のあるスロープは適さないことになります。
この割合を縮めると、自力で上がるのはかなり難しくなります。一番怖いのが途中まで気合で上ったものの、そこから先には行けず途中でリタイアすることです。そうなると後ろ向きで一気に急な勾配を下がっていきます。場合によっては車椅子から転倒する可能性も懸念されます。そのため急な勾配にならないことが重要です。
スロープの手前に助走がないとかなり厳しい
次にはスロープの手前に平坦な道を用意するといいでしょう。なぜなら坂を上る場合には助走があった方が上りやすいからです。逆に助走のないスロープはかなり力が要ります。助走のない坂は自力で上るのは難しいです。
今は上りとして考えましたが、降りる時にはスロープの終了と同時に壁になっていたらものすごく危険です。壁に激突する可能性もあります。場合によっては死亡事故につながる場合も想定できます。もちろん本人の不注意かもしれませんが、施設の設計上での責任を問われる可能性があります。
スロープ周辺にクレーチングや段差を造らない
さらにスロープ周辺で注意することは、絶対にクレーチング(金網)やわずかの段差などつけないことです。坂を上っていてクレーチングがあると前輪キャスターが入ってしまう可能性があるので大変危険です。
わずかの段差についても問題です。なぜなら段差をクリアするのは、前輪キャスターを持ち上げてウイリーのような状態にします。スロープを上るのにウイリーすることはできないからです。そういった部分のスポットを数多く見かけます。
車椅子ユーザーの声を反映したものが重要なポイント
そのためスロープの設計一つとっても、細かい点に注意しないと車椅子ユーザーが使いにくいものになってしまいます。実際に使えないスロープというのは数多く存在します。しかも一度作ってからは、直すことはかなりのコストを要するでしょう。
最低限でもバリアフリー法の勾配基準を確認していただくことと上記の点を踏まえていただくことが重要です。パラリンピアンのような腕っぷし強い方をサンプルにするのではなく、一般的な車椅子ユーザーの声を聞くことが誰でも使えるようなものに仕上がると思います。
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