車椅子利用者がよく行くバリアフリー店舗【3つの事例】

2019.05.13 (月)

最近では車椅子利用者が街中で多く見かける世の中になりました。この10年で大きく変わってきたことです。それでも利用しているスポットと言えば、ショッピングモールなどの大型商業施設です。

 

多目的トイレの設置・段差のないフラットな床・通路幅の確保・身障者用駐車スペース設置がされていることで、車椅子利用者の来店が多いスポットとなっています。でも路面店でもバリア解消に力をいれている企業はあります。

 

今回は3つの飲食チェーン店をご紹介します。飲食店を経営されている皆さまに参考になればと思っております。

【バリアフリー化がされている企業:和食レストランとんでん】

とんでんだけは15年前でもバリアフリー化されていた

大手レストランチェーン店である「和食レストランとんでん」を例に挙げたいと思います。和食レストランとんでんは、他のレストランがバリアフリー化を導入するかなり以前から、ほぼ半数以上のお店でバリアフリー化を展開していました。

 

約15年前でも、多目的トイレを設置しているお店がほとんどなかった世の中で、和食レストランとんでんだけには多目的トイレが設置されていて、まさに「とんでんなら安心」という気持ちがありました。

 

和食レストランとんでんのバリアフリー化は、クルマで走っていてすぐに目に留まります。ロードサイドの看板に国際シンボルマークである車椅子のマークを掲示していました。

 

逆に掲示していないお店については、バリアフリー化に至っていない店舗であることも分かっていましたので、利用する側にとってはパッと見て分かる点が何よりもうれしかったものです。

 

ここで大事なポイントは、クルマを運転していてパッと目につくという点です。クルマを運転していてそろそろ食事にしようと思っていても、バリアフリーかどうかがわからないお店がほとんどです。

 

身障者用駐車スペースの有無は外にあるので何とかなっても、店内に多目的トイレがあるかどうかは全く分かりません。

 

まさにブラックボックス化しています。もしかしたら店舗内に多目的トイレが設置してあるかもしれない中で、ほとんどのお店には設置されていない現実を知っていると「ない」と判断されてしまうでしょう。

 

そうなるとほぼ確実にバリアフリー化されているショッピングモールなどが選ばれてしまいます。

ショッピングモール以外にも気軽に行けるお店

実際に利用者側の気持ちを考えてみると、もし路面店に多目的トイレなどが設置されていればあえてショッピングモールに限ったことではないということです。つまり一般のお店に多目的トイレなどのバリアフリー化がされていれば、当然利用したい候補に挙がるわけです。

 

でも先ほど述べたように「情報の見える化」に至っていないから、利用しないわけです。

 

「ある」「なし」の事実ではなく、思われるか否かだけで、状況が大きく変わってくるこの差はものすごく大きいと思いませんか?それならば、「ある」と思われるようにすることではないでしょうか?

 

和食レストランとんでんのように国際シンボルマークの車椅子のマークを掲示することで「ある」と思われることを提案します。

 

クルマを運転していれば、そのときは食べたいメニューが違っていて、車椅子のマークのあるお店に入らなかったとしても、あのお店は大丈夫という記憶に残っています。そうなれば今後車椅子利用者は、そのお店を利用する可能性が高くなるでしょう。

 

しかも車椅子利用者からは、「味よりもバリアフリーが整っていることを優先する」という声も多く聞きます。

なぜ車椅子利用者から選ばれるのか

車椅子利用者がお店を選ぶ基準を知ることで、それに対応できるお店になることが「選ばれる」につながるでしょう。だからこそ「情報の見える化」が、ものすごく影響あるツールになると思います。

【バリアフリー化がされている企業:カラオケシダックス】

今では少しずつエンターテイメントのバリアフリー化は徐々に進んできています。といっても大型商業施設(ショッピングモールなど)に入居するカタチのエンターテイメントが増えた分だけ車椅子利用者でも気軽に行けるようになったのかもしれません。

 

ショッピングモールの中には、映画館・カラオケ・ゲームなど誰でも楽しめるように造られております。

 

しかし路面店のバリアフリー化を考えますと、まだまだ厳しい部分があります。そんな状況の中で他社よりも一早くバリアフリー化を進めたのが、カラオケシダックスでした。歴史を振り返りますと、1980年代後半からカラオケが徐々に流行り出しました。

 

当時は電話ボックスのような場所でコインを投入して歌っていましたが、90年代前半からはワンルームに変わり、コインを投入せず部屋代を払う現在のスタイルになっています。

 

当時の私は車椅子生活ではありませんでしたので、どこの地域に行ってもカラオケを気軽に楽しめていました。ところが24歳のときに、車椅子生活になると一変しました。ほとんどの店舗が段差のある施設ばかりで、近隣にカラオケ店がたくさんあっても全て利用できなかったことを覚えています。

 

そのため会社の送別会などでカラオケに行くことになっても、自分だけは対象外になってしまい、他の人と同じように楽しみたいという辛さがありました。

カラオケならばシダックスが合言葉

しばらくすると私が住んでいる守谷市にカラオケシダックスができることになり、多目的トイレも設置されたバリアフリー化となっていました。このお店ができたことで、私にとって幸せを感じるくらいの喜びでした。

 

前述のとおり、今までは会社の仲間と一緒に行くことのできなかったカラオケを、毎回気軽に行けようになりました。

 

もちろん会社の仲間は、私がいるならば「カラオケシダックスにしよう」と言ってくれていました。そうなると一気に10名、場合によっては30名の大宴会のような賑わいになりました。お店にとってもびっくりするほどの人数だったと思います。

 

これがまさにバリアフリー化効果であるといっても過言ではないでしょう。

 

間違いなく企業にとって収益につながりますし、「車椅子利用者がいるならばカラオケシダックスに行こう」という合言葉になるような強さになります。

 

最近のカラオケシダックスは、カラオケ事業の競合他社が多い中で、苦戦されている情報もよく耳にしますが、今後は超高齢化社会においてバリアフリー化にしていることが他店に対する大きな差別化につながるのではないでしょうか?

歳をとってもカラオケを気軽に楽しめる

残念ながらエンターテイメントにおける車椅子の利用しやすい環境は、まだまだごく一部です。だからこそ差別化を図る意味にもビジネスチャンスになるような気がします。年齢がいったからカラオケはしない・ボウリングはしない・ゴルフはしないのではありません。

 

そういった環境が少ないからできないと考えてみることが、更なるアイディアが湧き、幅広い年齢に喜ばれるお店になっていくと思っております。

【バリアフリー化がされている企業:コメダ珈琲店】

最近はものすごく喫茶店が増えました。私がよく行くのはコメダ珈琲店です。郊外の店舗が増え、ロードサイドにあることで駐車場も入りやすくなっています。そして大概のお店には、身障者用駐車スペース1~2台分が完備されております。

 

そして入口には段差がなく、段差があるお店のほとんどはスロープが設置されております。角度も1上がるのに12以上の長さになっていますので、スロープの勾配は問題ありません。

 

残念なのは入口がスライド式でなく、引き戸になっていることが多い点。多目的トイレの設置については、半分近くの店舗において設置されています。

 

お店の大半が可動式のソファーなので、すぐに移動することができ、車椅子でも利用できるスペースはたくさんあります。このソファーの取り組みは、他の企業でも参考になるポイントでもあります。

 

セルフではない喫茶店なので、席に座って注文することができるのは、車椅子利用者にとってものすごく助かります。

セルフサービスのお店における不安

なぜ助かるのか?と考えますと、スターバックスコーヒー・タリーズコーヒーなどのようなセルフサービスの喫茶店においては、受付カウンターで飲食の注文をしますが、注文後、料理を運んでもらえるのかどうかが気になるところです。

 

もちろんほとんどの店舗が「席までお運びいたしますので、席でお待ちください」とおっしゃっていただけるところが大半ですが、たまにそうでないところもあります。だから正直利用するかどうか迷ってしまうこともあります。

 

車椅子を片手で漕ぎながら、コーヒーや飲食を席まで運ぶのはかなりのテクニックを必要とします。状況によっては、熱いコーヒーをこぼしてしまうことも予想されます。そういった不安を少しでも取り除きたいと思っているので、セルフのお店は協力していただけるのか気になってしまうのが本音でしょう。

 

もちろん各社の従業員教育では、セルフサービスなのでお客さま自身が行うとなっているでしょうが、車椅子利用者が来店されたときなどには、臨機応変に対応できるかが大きなポイントです。

 

でも残念ながらマニュアル通りに遂行してしまう従業員さんもよく見かけます。「セルフサービスですからお渡しします」と言われた場合、次回そのお店を利用するかどうかを悩む前に、今後はその店を利用しなくなる可能性が高いです。

利用者目線にたって適切なサービスを展開する

そのように言われてしまうと、さすがに「席まで運んでいただけますか?」とお願いするのは言いにくいものです。なぜなら従業員さんが「セルフサービスですから…」という言葉を発している以上、条件を遂行するのは当然と言っているように感じてしまいます。

 

実際には臨機応変な対応ができないだけだと思いますので、利用したいお客さまの気持ちに沿った対応ができるような教育を入れていく必要があります。

 

しかしそれだけでは万全ではありません。なぜなら利用するかどうかを決める前に、「あの店はフォローしてくれるか?」と想像するので、実際にYESかNOかは利用するまで分かりません。

 

であれば、入口や受付カウンター付近に「もしお手伝いを必要とするならば、お気軽におっしゃってください」と掲示するのか、もしお店に掲示するのがお店のイメージを壊すのであればホームページに掲載することはどうでしょうか?

 

大事なことは「情報の見える化」です。利用する前、つまりお店を選ぶ段階で情報を開示しておくことが、お客さまへ安全・安心をお伝えすることになります。今後増え続ける車椅子利用のお客さまなどに対して、同時に優しい対応となるお店も増え続けていくことを願っております。

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