「車椅子ユーザーが本当に使えるトイレとは?店舗が押さえるべきバリアフリーポイント」
バリアフリーアドバイザーの白倉栄一です。
今回は、店舗などでバリアフリー対応を検討されている方に向けて、「車椅子ユーザーが外出先で求めている設備」についてご紹介します。
外出時に車椅子利用者が最も重視するのは「トイレの利用環境」です。
特に都市部へ出かける際には、事前に「車椅子で利用できるトイレがあるかどうか」を調べるのが一般的です。
最近では多目的トイレマップなどの便利なサイトが増えましたが、「設置されているか」だけでなく「実際に使えるか」まで判断できる情報が求められています。
設計ミスで“使えないトイレ”になってしまうことも
実際にあった例として、都内のあるコンビニで「多目的トイレあり」との情報が掲載されていたので訪問しました。
しかし、現地で利用できないことが判明。
写真は掲載されていた通りでしたが、撮影角度により実際よりも広く見えてしまっていたのです。
中に入ってみると、トイレが狭すぎてドアを閉めることができず、車椅子の回転スペースもありませんでした。
このように、「見た目」や「情報」だけでは判断できないケースもあります。
実際に利用者の視点で設計されているかどうかが重要です。
付帯設備の有無で“使える人の幅”が広がる
障害の内容は人それぞれ異なります。
ユニバーサルベッド、オストメイト設備、ベビーベッドなどの設置があれば、利用可能な方が大きく広がります。
とはいえ、すべてを備えることはコスト面の課題もあるでしょう。
そうした場合は、設備内容を明確にし、間取り図や写真を添える「見える化」が重要です。
利用者は“見えない情報”では判断ができません。だからこそ、「正確で具体的な情報発信」が求められています。
「使えると思って行ったのに、使えなかった」が一番の問題
特に気をつけたいのは、事前にホームページなどで「使える」と判断したのに、実際には使えなかったというケースです。
現在では飲食店検索サイトなどでも「バリアフリー」での絞り込みが可能ですが、掲載基準が曖昧なため誤解が生じやすいのが現状です。
たとえば「階段の上にエレベーターがある」「トイレがバリアフリーでない」など、実際の使い勝手とは異なるケースが見られます。
これからの時代、「本当に使えるか?」の視点を
バリアフリー対応は、知識がある人だけがするものではありません。
むしろ、車椅子利用者などの“当事者目線”を取り入れた情報発信が大切です。
日本はこれからますます高齢化が進み、車椅子でも外食を楽しみたいというニーズが増えていきます。
ぜひ、バリアフリーを“導入したつもり”で終わらせず、「実際に使えるか」を意識した取り組みを進めてみてください。
その積み重ねが、お客さまに安心して選ばれるお店づくりにつながっていくはずです。
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