お客さまにきちんと伝わってこそ価値のあるバリアフリー
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あなたの会社の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
商業施設のホームページや掲示板には、車椅子で利用できるトイレがあっても、男女のトイレのマークだけで国際シンボルマークの車椅子のマークが掲載されていないことがたびたびあります。
実際に表記されていないと、車椅子利用者の目線では「この施設には、車椅子で入れるトイレはないんだな…」とか、「多分あるはずなんだけどどこだろう…」という疑問の目になってしまうでしょう。
一般の人からすると、別に不思議ではないように思いますが、多目的トイレなどを探している車椅子利用者などにとっては、不親切な表記でもあります。
場合によっては、表記されていないことで訪れることを辞めてしまうこともあります。
そのためにも、きちんとピクトグラムで車椅子マークを表記しておくことをおすすめします。
お客さま目線で考えてみる必要性
私は総合スーパーに在籍していたときに、お客さまから次のようなご意見をもらったことがあります。
「店内のトイレがどこにあるか分かりにくい」といった内容です。
当時私は人事総務課長だったので、設備会社の担当者と一緒に一通り確認しました。
でも従業員からの目線だと店内の掲示板は至るところに設置されており、トイレの場所は分からないというのはちょっと考えにくかったのです。
次はお客さまの導線を考えて検証してみました。
1階南口・2階西口の平面駐車場、4階・屋上の立体駐車場にとめてから、どういったルートを通って入店するかを考えました。
いろいろとチェックしていたら分かったことがありました。
1階でショッピングしているお客さまにとっては、天井から吊るしている掲示板が見えても、エレベーターを利用されて1階に下りてくると見えませんでした。
理由は、掲示板が、エレベーターを下りてきたお客さまの目線と平行に吊る下げられているので、少し移動して角度を変えないと全く見えませんでした。
そのため4階・屋上の立体駐車場から1階に下りてきて、目の前にトイレの掲示板が見えるように設置しました。
またその掲示板には、単にトイレという表示だけでなく、国際シンボルマークの車椅子のマークも掲載しました。
ここで分かったことは、従業員の目線で考えていると意外と見えてこないものがあります。
なぜならいつも在籍しているがゆえに、トイレの場所などもともと把握しています。
でもお客さまからすると、何度もいらしているのであれば、ここにあると想像がつくものの、そうでなければ分からないことがほとんどです。
さらに一般のトイレのマークはあるけれど、多目的トイレのマークはないようなものもお客さまを混乱させることがたびたびあります。
これは自宅からホームページを調べているようなときは、車椅子のマークがなければこの施設は長居できない、もしくは利用できないと判断してしまいます。
伝えていないバリアフリーは誰のためにもならない
実際に行ったらあったというのでは、実に役に立っていません。
そのためにホームページでは、トイレに何があるかまできちんと明記してあげることで、親切な対応になるでしょう。
ベビーベッドがあるのか、オストメイト機能はあるのか、ユニバーサルベッドはあるのかなど。
必要としている人にとっては、ものすごく情報を探しています。
なぜなら選択肢が少ないために、探して確認できない限り、外出しにくくなるからです。
これは一般の方々には想像しにくいことかもしれません。
でももし自分が職場のトイレに行きたくても、たまたまトイレが故障していて職場のトイレが使えなかったらまちがいなく慌てるでしょう。
「どこのトイレを使ったらいいの…?」と思うはずです。
こういったことが日常的にハンディキャップのある人には起きていることです。
だからトイレなどの情報は見える化が重要なポイントになります。
こういった内容については、どうしてもその人の立場になって考えてみなければ気がつきにくいことでもあります。
車椅子利用のお客さま、ベビーカー利用のお客さまなどに確認してもらうことで、いろいろな意見が出るでしょう。
そして改善を重ねていくことで、利用価値の高まるお店になっていけるはずです。
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