バリアフリーという言葉だけでは車椅子で利用できない理由
Contents
あなたのお店の『バリア解消』請負人 白倉栄一です。
最近は少しずつバリアフリーという言葉も
世間に浸透してきました。
私が交通事故に遭い
車椅子生活となった1996年頃は、
バリアフリーという言葉は
世間においてあまり馴染みがなく、
至るところがバリアだらけでした。
鉄道においても、
今では当たり前のように設置されている
エレベーター(もしくは昇降機)、
多目的トイレですが、
当時はどの鉄道路線においても皆無でした。
電車に乗るにしても駅員さん総出で
車椅子ごと階段を持ち上げるといった、
マンパワーで対応していました。
そんな時代から20年以上が経過し、
バリアフリーにおける法整備ができたことで、
車椅子利用者の生活は大きく変わったことは
まちがいないでしょう。
バリアフリーだけでは分からないことがある
実際に「バリアフリー」という言葉だけは、
具体的でないために、車椅子利用者からは
「バリアフリーと言っても、いったいどこが?」
と思ってしまう曖昧な言葉でもあります。
私が2000年頃に利用した横浜の某ホテルに
「バリアフリールーム」の掲載があったので
予約をしたものの、
行ってみたら単なる広いだけの部屋が
バリアフリールームだったのです。
トイレと風呂の入口には10㎝以上の段差があり、
ドアの幅は60㎝を大きく下回るような
車椅子では通ることができないものでした。
フロントに「何とかなりませんか?」と言ったら、
「我慢してください」という返答でした。
それ以来、私は「バリアフリー」という
言葉には定義がないために
人によってとらえ方が異なるものだと思いました。
このホテルにとっては、
「広い部屋=車椅子でも使える=バリアフリー」
と判断していたので、
トイレ・風呂に入れるか否かは
バリアフリーの対象ではなかったのかもしれません。
筋肉ムキムキのお兄ちゃんがバリアフリー?
また次のようなこともありました。
これはちょうど2017年の出来事です。
一部の飲食店検索サイトに
バリアフリーの情報が掲載されるようになったのは
ごぐごく最近のことです。
確かに情報の見える化としては便利になったものの
ここでも「バリアフリーの有無」
という表記だけのために、
具体的にどのようなバリアフリーの設備があるのか
全く分からないといった問題点があります。
トイレなのか、通路幅なのか、段差なのか…。
それは掲載した人の知識レベルで
判断されてしまうために、
段差がないからバリアフリーとして登録しても、
バリアフリー店舗になってしまうわけであります。
都内にある居酒屋で飲食店検索サイトには
バリアフリー有と記載されていたため、
友人が予約をしてくれていました。
実際にその居酒屋があるのが2階。
現地にきてどこを見回しても
2階に行くルートはないんです。
エレベーターはあったのですが、
エレベーターの手前に5~6段の階段がありました。
もしかしたら裏手からスムーズに行けるのでは?
と思ったくらいです。
ところが若い筋肉ムキムキの若者2人がやってきて
「車椅子ごと持ち上げますので大丈夫です」
と急におっしゃったんです。
5~6段の階段を軽々とクリアして
エレベーターへ乗り込みました。
多目的トイレの有無は確認しませんでしたが、
「筋肉ムキムキのサポート=バリアフリー」
という意味で
バリアフリーをアピールしているのであれば
ちょっと違うのではないかと思います。
その2人が不在のときは
バリアフリーの提供ができないかもしれません。
つまりバリアフリーの情報は
具体的でなければ相手に正しく伝わりません。
そのためには文字だけでなく、
画像、できれば動画などによる
当事者が分かるような情報こそが
大事なポイントになるでしょう。
そこが分かることで、
もっと多くの車椅子利用者が「ここなら行ける!」
と感じることができるにちがいありません。
そこがバリアフリーの価値や魅力を
伝える手段となると思っています。
関連する投稿
- 「バリアフリー有」では伝わらない情報の重要性とは?
- バリアフリーの情報を探している人に伝えたいポイントとは?
- こころのバリアフリーであっても意思表示をしないと伝わらない理由
- バリアフリーの宿・ホテルの予約の際には画像・間取りが見たい
- 東京2020や超高齢化社会に向けたバリアフリーの見える化がビジネスツールになる
現在の記事: バリアフリーという言葉だけでは車椅子で利用できない理由